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広告クリエイティブ制作の“当たり前”を変革する「Open CTR Predictor」。生成AI時代の新たなクリエイティブ制作フローを実現。

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  • 有川 慧

    アドビ株式会社
    アドビ マーケティング本部
    戦略・統合マーケティング部

    有川 慧

    アドビ株式会社
    アドビ マーケティング本部
    戦略・統合マーケティング部

    外資系メディア・メーカーにてデジタルマーケティング業務に従事したのち、2022年にアドビ株式会社に入社。現在は Adobe Express と Adobe Illustrator のマーケティング施策の設計・実行を担当。(※インタビュー当時のもの)

  • 林 嘉信

    LINEヤフー株式会社
    ビジネスPF統括本部
    ビジネスソリューション開発本部
    ビジネスインキュベーション部
    クリエイティブソリューションチーム リーダー

    林 嘉信

    LINEヤフー株式会社
    ビジネスPF統括本部
    ビジネスソリューション開発本部
    ビジネスインキュベーション部
    クリエイティブソリューションチーム リーダー

    2020年 LINEヤフー株式会社(旧LINE株式会社)入社。営業推進業務を経験したのち、デジタル広告のクリエイティブや生成AIに関する事業企画・プロジェクトマネジメントなどを複数担当。(※インタビュー当時のもの)

  • 阿部 一馬

    株式会社オプト
    マーケティング・アセット本部付

    阿部 一馬

    株式会社オプト
    マーケティング・アセット本部付

    2017年 株式会社オプト入社後、半年でチームマネージャーに昇格。2018年に沖縄にあるオプトのクリエイティブチームを強化するため、沖縄へ移住し、2020年部長に昇格。2023年に自ら手を挙げ、ソリューション企画部へ異動。クリエイティブ領域におけるAI活用の推進を担うほか、新しいクリエイティブ制作フローを提案すべく、Open CTR Predictorを始めとした複数の新規事業を担当。

  • 高田 悠矢

    Re Data Science株式会社
    代表取締役社長

    高田 悠矢

    Re Data Science株式会社
    代表取締役社長

    2010年 工学系修士課程修了後、⽇本銀⾏⼊⾏。景気動向や金融システムに関する統計分析業務に従事したほか、資金循環統計やGDP統計(内閣府出向時)の推計手法設計に携わる。2015年 株式会社リクルート⼊社。戦略策定のための統計分析や、リコメンドエンジンの開発、⼈事課題に対する統計分析・機械学習手法の適用、⾃社データを活用した経済指標の開発・発信など、データ起点のさまざまな取り組みの企画・実行を担う。2021年 Re Data Science株式会社を創業。機械学習技術を用いた新規事業企画・開発支援、データ解析などを行う。

生成AI時代のクリエイティブ制作では、低コストで多くのクリエイティブバリエーションを制作することが可能になりました。2023年10月に、オプトがリリースした広告効果予測ツール「Open CTR Predictor」は、生成AI時代の新たなクリエイティブの制作フローを可能にするためのツールです。

Open CTR Predictorの開発背景や、アドビ株式会社が提供する生成AI Adobe Firefly(※1)を活用した「広告クリエイティブデザインコンテスト」で得られた成果について、株式会社オプト (以下、オプト)マーケティング・アセット本部付 阿部 一馬(以下、阿部)と、Re Data Science株式会社 代表取締役社長 高田 悠矢(以下、高田)に加えて、共同でコンテストを開催するなど連携を加速させている、アドビ株式会社(以下、アドビ)マーケティング本部 戦略・統合マーケティング部の有川 慧氏(以下、有川氏)とLINEヤフー株式会社(以下、LINEヤフー)ビジネスPF統括本部 ビジネスソリューション開発本部 ビジネスインキュベーション部 クリエイティブソリューションチーム リーダー 林 嘉信氏(以下、林氏)の4名にお伺いしました。

※1 Adobe Firefly(インタビュー当時のもの)https://www.adobe.com/jp/products/firefly.html

「新たなクリエイティブの制作フロー」のための Open CTR Predictor

──「Open CTR Predictor」を開発した背景について教えてください。

高田:2023年10月にリリースした「Open CTR Predictor」は、マルチモーダル深層学習(※2)技術を用いた、ディスプレイ広告の効果予測ツールです。このツールはどなたでも無料でお使いいただけます(2024年8月末時点)。

広告効果を予測したいクリエイティブを選択し、広告画像やテキスト、属性情報などのデータを入力することで、広告効果の予測結果を表示する仕組みになっています。

当プロダクトの企画は、画像生成AIの台頭を意識して立ち上げました。
従来のクリエイティブ制作フローでは、比較的規模の大きな広告予算を持つ企業においては、クリエイティブのバリエーションを多数制作できる一方、広告予算が限られる企業においては、クリエイティブのバリエーションを増やすことが難しい状況でした。

そうしたなか、画像生成AIが登場したことで、限られた予算と時間のなかで多くのクリエイティブを制作する必要がある企業においても、低コストかつ短期間で多くのクリエイティブを制作することが可能になりました。

しかし、多くのクリエイティブを制作することができても、実際に出稿するのはそのうちのほんの一部です。そのため「どの広告クリエイティブが最適なのか選ぶ」ことが非常に重要です。

「Open CTR Predictor」は、広告クリエイティブの制作時に、どなたでも無料で広告効果を予測し、複数のクリエイティブのバリエーションから「効果の高いクリエイティブを選ぶ」ことを可能にするツールです。選抜されたクリエイティブのみを入稿・配信することにより、広告効果の安定的な向上が期待されます。当社の試算(※3)では、事前選抜によるクリック数向上の余地は1.4倍程度と見なすことができます。

つまり、私たちは、画像生成AIと効果予測AIを用いた「新たなクリエイティブの制作フロー」を世の中に浸透させていくために、「Open CTR Predictor」というプロダクトを企画・開発しました。

※2 深層学習
人間の神経細胞の仕組みを模したニューラルネットワークを用いた機械学習の手法の1つ。人間が定義し得ない特徴を機械が自動で定義して学習をする手法です。

※3 当社の試算
オプトが配信したディスプレイ広告のうち、配信先、商材、媒体、日時などの条件が全て同一で、クリエイティブのみが異なる事例(同条件下で3件ずつ×40ケース=計120件)をサンプルとした場合、CTRの全件平均は0.37%、このうち同一条件下3件のうち最も効果のよいもののみを抽出すると、平均は0.51%と、事前選抜によるクリック数向上の余地は1.4倍近くあると見なすことができる。

広告制作の現場では創造活動が「人」に、生産活動が「AI」へと変わっていく

── 生成AIの発展によって、広告制作の現場はどのように変化していますか?

阿部:従来のクリエイティブ制作では、たとえば、アドビが提供するストックフォトサービスAdobe Stock(※4)の素材を活用しながらアイデアの実現をしていました。しかし、アイデアのイメージに沿った素材をAdobe Stockのなかから見付けることができないこともあり、クリエイターのアイデアを実現することが難しい場面もありました。

そのため、複雑な素材を制作する場合には、クリエイターがAdobe Photoshop(※5)などを活用して、アイデアに近づけていく作業をしたり、カメラマンと協力して素材を撮影したりしていますが、このような対応では、1つアイデアを完成させるのに約2~3時間かかる状況でした。

そのような状況で、プロンプト(※6)を適切に入力することで、アイデアに近い画像を簡単に制作できる画像生成AIが登場したことにより、プロンプトを適切に入力するだけで、クリエイターの実現できるアイデアの幅が広がったと感じています。

つまり、これまでのように素材の制限の影響を受けず、時間的な制約にもとらわれず、より多くのバリエーションを提案することが可能になったといえます。

創造活動が「人」で、生産活動が「AI」に変わったのは、まさに革新的なことだと捉えています。

※4 Adobe Stock https://stock.adobe.com/jp/

※5 Adobe Photoshop https://www.adobe.com/jp/products/photoshop.html

※6 プロンプト
AIとの対話やコマンドラインインタフェース(CLI)などの対話形式のシステムにおいて、ユーザが入力する指示や質問のこと。

コンテストの開催で気づいたクリエイターの「課題解決力」と「発想力」の重要性

── 2023年9月には「広告クリエイティブデザインコンテスト」を開催しましたが、その狙いはどこにあったのでしょうか?

高田:コンテスト開催前の広告業界では、著作権の問題から、画像生成AIの商用利用は限定的でした。

そのようななか、アドビ社の提供する画像生成AI「Adobe Firefly」が著作権の問題を解決し、商用利用が可能となったことで、広告業界は“転換点”を迎えたのです。

広告業界にとって、広告クリエイティブにおける画像制作の「当たり前」が、根本から変わる歴史的ターニングポイントを世の中に広く知っていただくため、画像生成AIと効果予測AIを活用したコンテストを開催しました。

── コンテストを開催したことで、どのような成果が得られましたか?

阿部:コンテストには、社内のクリエイターとディレクター20〜30名の参加があり、7チームに分かれて実施しました。

内容としては、画像生成AIを用いた広告制作を行った後、効果予測AIで広告効果の予測をする「新しいクリエイティブデザインの制作フロー」に則り、有形商材と無形商材の仮想企業2社に対するクリエイティブデザインを制作し、デザインを競い合いました。

このコンテストを経て得られたことの1つに、「クリエイターが実現できるアイデアの幅が広がった」ことが挙げられます。

まず、クリエイティブデザインの「量」に関してです。コンテストでは、6時間で有形・無形の2商材を制作する枠組みのなかで開催しました。通常、6時間ほどでは3〜5点ほどの作品を制作可能ですが、約半数のチームが3桁を超える枚数のクリエイティブを制作し、チームによっては130点ものアイデアを制作しました。これは、画像生成AIだからこそ達成できた数字だと思っています。

また「質」においても、今まで実現できなかったアイデアを画像生成AIによって形にできるというメリットが確認できました。具体的には、高度な合成やCG、撮影を要するため、実現を諦めていたビジュアルアイデアについても、画像生成AIを活用することで実現が可能となり、より幅広い広告クリエイティブのバリエーションを提案することができるようになったといえます。

生成AIの発展によって、クリエイターの持つ「課題解決力」と「発想力」がより重要になってくることが、コンテストの開催によって得た学びでした。

AI活用の裾野をデザイン未経験者にまで広げていく

── 2024年5月にはオプトとアドビ、Re Data Scienceの3社共同で、LINEヤフー林様を審査員に迎え、デザイン未経験者を対象としたコンテストを開催しました。

阿部:第2回目のコンテストでは、生成AIのAdobe Fireflyに加え、誰でも簡単にバナーやチラシ、ショート動画などのコンテンツを作成できるデザインアプリAdobe Express(※7)を組み合わせて実施しました。

第2回目となる今回は、より多くの方に「新たなクリエイティブの制作フロー」を体験いただけるように、社内外を問わない、さまざまな業界・業種が参加できるコンテストとしました。業界や業種の違う3名が1チームとなり、制限時間3時間のなかで、架空の化粧品における広告クリエイティブのデザインを制作し、デザインを競い合いました。

私たちは、「新たなクリエイティブの制作フロー」を世の中に広めていくために、コンテストを通じて得られる「学び」や「発見」を大事にしていきたいと考えています。

有川:第2回目のコンテスト開催にあたっては、Adobe FireflyのほかにAdobe Expressも加わることで、よりクリエイティブ制作の門戸が広がるのではと予想していました。

プロのデザイナーだけを対象としていた前回のコンテストとは異なり、今回のコンテストではデザイン業務に携わったことのない方が対象者でした。これは、アドビが掲げる「すべての人に『つくる力』を解放する」というミッションの体現にもつながっています。

今後も、広告制作の現場でAdobe Fireflyを有効活用できるコツやノウハウを、皆さんと協力しながら見出していければと考えています。

林:画像生成AIを使い慣れていない人は、「どのようにクリエイティブを作ればいいかわからない」場合が多く、広告業界においても画像生成AIの最適な使用方法はいまだ確立されていません。

そうした現状のなかにおいて、今回のコンテストを通じて、生成AI時代の新たな制作フローを提案していく取り組みをされていたのは、非常に素晴らしいことだと思っていますし、これからも4社で連携していきながら、一緒に広告業界を変えていければと考えています。

※7 Adobe Express https://www.adobe.com/jp/express/

4社で協力しながら「新たなクリエイティブの制作フロー」を業界に浸透させたい

── 今後、4社が取り組んでいく取り組みの展望についてお聞かせください。

有川:各ツールが連携することで一元的に操作でき、複数のツールを使う手間が省けます。これにより、よりスムーズにクリエイティブ制作ができるようになり、業務全体の効率化が期待できます。Adobe Expressでは、LINE広告の業界別のニーズやトレンドの情報をもとに、LINE広告用のテンプレートを特別に用意し、それらを広告クリエイティブに活用できるようにしました。こうした連携を強化しつつ、さらに業界を盛り上げていきたいですね。

林:当社では、LINE広告やLINE公式アカウントのクリエイティブを無料で作成できるツールLINE Creative Lab(※8)を提供していますが、Adobe Expressと提携したことで500点ほどのテンプレートが実装されました。そのため、LINE広告の入稿や配信に際しては、リッチなコンテンツをつくることが可能になりました。

一方で、制作プロセスにおいては素材をつくるだけでなく、Open CTR Predictorを使用し、効果の高いクリエイティブを選ぶ作業も不可欠になるため、「新たなクリエイティブの制作フロー」を浸透させていく一助になれるように尽力していきたいと思います。

阿部:画像生成AIを用いることで、より幅広いクリエイティブのバリエーションを制作できるのは、大きなメリットに感じています。そこに、配信媒体に合わせたフォーマットやテンプレートが用意されていること、さらにどなたでも質の高い広告クリエイティブを制作しやすくなる未来がくるのではと感じています。

だからこそ、クリエイターは、Open CTR Predictorを使い、広告クリエイティブの効果を事前に予測し、クリエイターの持つ「課題解決力」と「発想力」をもとによりよいクリエイティブを制作することで広告パフォーマンスの質を上げていくことも求められる時代になるのではないでしょうか。

高田:Open CTR Predictorにおいては、他の広告代理店さまや広告主さまのニーズにより広く対応すべく、多くの機能を拡充し、利用ユーザーの増加や認知度の向上を目指していきたいと思っています。

今後も、Open CTR Predictorを進化させることで、新たなクリエイティブの制作フローを提案し続けていきたいと思います。

※8 LINE Creative Lab https://creativelab.line.biz/ja

Interview担当者インタビュー

クリエイティブこそ広告運用のフロンティア。業界初のソリューション「CRAIS for Text」がもたらす広告テキスト生成の可能性と役割とは

2023年にオプトは、当時業界初として、ChatGPTと効果予測AIを広告クリエイティブの制作に活用するCRAIS for Text(クレイス・フォー・テキスト)」を開発しました。
今回、CRAIS for Textの開発背景や利用事例について、株式会社オプト(以下、オプト)マーケティング・アセット本部 AIソリューション開発部 部長 田中 宏明とマーケティング・アセット本部付 阿部 一馬がお話します。

田中 宏明

株式会社オプト
マーケティング・アセット本部
AIソリューション開発部
部長

阿部 一馬

株式会社オプト
マーケティング・アセット本部付

Interview担当者インタビュー

オプトの知見を活かし、テクノロジーによるクリエイティブ表現を開発する。広告代理店に制作チームを有することで、顧客企業のLTVに寄与するクリエイティブを生み出す

3DCGやAIなどのテクノロジーを活用し、デジタル広告の新たな表現手法を開発・研究するプロジェクトチームとして2022年に発足したオプトの「+do(プラスドゥ)」。3DCGの空間で、低単価かつスピーディな撮影を実現するVIRTUAL SHOOTING(バーチャルシューティング)に、リアルタイムで3Dスキャンを行うフォトグラメトリー、専用スーツ1着で人の動作の特徴となる動きを記録するモーションキャプチャからAIナレーションまで、テクノロジーを活用したさまざまなクリエイティブ手法を生み出しています。

端山祐也

株式会社オプト
クリエイティブ本部
ダイレクトデザインプランニング2部
マネージャー

Interview担当者インタビュー

顧客のインサイトに響く検索キーワードを軸に広告コミュニケーションを展開する「DRメソッド」と、クリエイティブの“スピード”と“質”を重視したミドルファネル施策の取り組み

戦略PRとデジタルマーケティングを組み合わせ、生活者の需要喚起から、ブランドの魅力付けまでを共通の軸に展開していくことで指名検索を増幅する「DRメソッド」と、商品・サービスの認知から購入に至るまでをワンフレームにし一貫したコミュニケーションとして実行する「ハイブリッドクリエイティブ」。

中村 駿介

株式会社オプト
広告戦略・コミュニケーション本部
プランニング統括室 兼 コミュニケーションデザイン部
部長

高田 勝義

株式会社オプト
フルファネルクリエイティブユニット Hy-C
エグゼクティブクリエイティブディレクター

Case Study事例紹介

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