CASE STUDY

事例紹介

  • Case Study

わずか1年でEC事業の業績が約31倍に改善!オプトとインハウス化を見据えた組織改革と利益創出

SHARE
  • 山田 淳史

    キューサイ株式会社
    上級執行役員副社長
    営業戦略本部長

    山田 淳史

    キューサイ株式会社
    上級執行役員副社長
    営業戦略本部長

    京都市出身、国内外複数のコンサルティングファーム、通販業界やD2C業界での事業責任者を経て、2021年キューサイへ上席執行役員として入社。セールスマーケティング全般を統括し、単品通販からの脱却を目指してブランド価値を高めるコミュニケーション戦略の強化を主導。

  • 小森谷 裕之

    キューサイ株式会社
    執行役員
    営業戦略本部 副本部長

    小森谷 裕之

    キューサイ株式会社
    執行役員
    営業戦略本部 副本部長

    茨城県出身、人材業界/WEB制作・開発会社などでシステム開発・デジタルマーケティングを経験。化粧品・健康食品の総合/単品通販会社でのEC事業責任者を経て、2024年キューサイへ入社し、DX/CX領域の強化を主導。

  • 伊藤 弘明

    株式会社オプト
    マーケティング・コンサルティング領域
    上級執行役員:SVP
    兼 マーケティング・コンサルティング本部
    執行役員:VP

    伊藤 弘明

    株式会社オプト
    マーケティング・コンサルティング領域
    上級執行役員:SVP
    兼 マーケティング・コンサルティング本部
    執行役員:VP

    2013年㈱オプトに入社。ブランドメディア戦略、運用コンサル、TV×デジタルの最適化、クリエイティブディレクション組織・営業部門のマネジメントに幅広く従事。2022年より、インハウス支援事業を立ち上げ、マーケティング活動の自走化をミッションに、各事業主様の事業成長に向けた伴走型インハウス支援に従事。2024年4月より、マーケティング・コンサルティング本部の執行役員:VPに就任。2025年7月より、マーケティング・コンサルティング領域 上級執行役員:SVPに就任。

1965年の創業以来、「キューサイ青汁」や「コラリッチ」をはじめとする健康食品・スキンケア商品を提供してきたキューサイ株式会社。市場やユーザーのニーズに沿い、デジタルを活用した顧客接点の増加や組織改革を行うため、2024年より東京オフィスを立ち上げました。テレビ通販経由の売上が大半を占める同社はデジタル活用によりどのような変化を目指すのか? 同社の上席執行役員 副社長 山田 淳史氏、執行役員 小森谷 裕之氏、株式会社オプト 上級執行役員 伊藤 弘明の三者が東京オフィスの目的とこれからについて意見を交わします。

東京にデジタルマーケティングの拠点を設立

――あらためて、貴社の事業概要を教えてください。

山田氏:キューサイは「ウェルエイジングカンパニー」を掲げ、「人生初を、いつまでも。」というコーポレートスローガンのもと、誰もが「年齢を重ねることを前向きにとらえ、こころ豊かに生きる」社会の実現を目指しています。従来はテレビ通販を中心に「キューサイ青汁」、肌にハリとツヤを与える「コラリッチ」、ひざ関節の曲げ伸ばしを楽にする「ひざサポートコラーゲン」などの健康食品・スキンケア商品を販売してきました。お客さまは女性が多く、年齢層は65歳以上がメインです。

――貴社は「キューサイ=青汁」というイメージが強くある方も多いと思います。

山田氏:40代以上のお客さまには60%以上の認知があり、 青汁といえばキューサイ、キューサイといえば青汁というイメージが確立されています。本来のブランド戦略からすれば望ましい状態ではありますが、30代以下のお客さまになるとそもそもキューサイという企業をご存じないので、通販で「コラリッチ」などを購入されたお客さまが、キューサイと段ボールに書いてあるのを見て、注文してないと勘違いしてご連絡をいただいたこともあります。現状、青汁以外の商品はキューサイのイメージはなく、個々の商品として認知していただいています。

――東京オフィスを立ち上げた背景と、現状の課題を教えていただけますでしょうか。

山田氏:キューサイの売上はインフォマーシャル(※)によるテレビ通販経由が大半を占めますが、お客さまの情報収集チャネルは増え続けています。そこでデジタルのチャネルでの販促チャネルを構築するために、オプトに相談することを決めました。キューサイの本社は福岡にありますが、新しいテクノロジーのトレンドなどはやはり東京にアドバンテージがあります。そこでオプトさんにサポートしていただき、東京にデジタルマーケティングの拠点をかまえることにしました。

※インフォマーシャル:情報(インフォメーション)と広告(コマーシャル)を組み合わせた造語。
通常のCMよりも長い時間で商品やサービスについて紹介する。

伊藤:キューサイさまがウェルエイジングカンパニーを目指す中で、新しい顧客体験をデジタルで拡大するためのケイパビリティをどう強化していくのか。このようなご相談をいただき、オプトはご一緒することになりました。最初にお話しをいただいたのが2023年の年末で、翌年の4月からデジタルマーケティングを推進する東京オフィスの運営をサポートしています。テレビのインフォマーシャルに加え、デジタルによる施策でいかに新しい顧客接点を広げられるか。「コラリッチ」をはじめとする商品を広く知ってもらうための取り組みは、私たちとしても大きなチャレンジでした。

テレビ通販だけに頼らず、SNS広告やスマホ仕様の縦型動画にも進出

――組織の立ち上げからわずか1年でEC事業の業績が約31倍に改善したそうですが、具体的な施策について教えてください。

小森谷氏:まず、新規顧客との接点をふやすためにKPI(※)の徹底的な管理を実施しました。PL(損益計算書)をベースに週次でKPI管理を行い、数字に対する意識づけも徹底しました。現場もマネジメント層もコスト意識を持ち、新規顧客の開拓指標となるKPIを細かく見ることで媒体費や制作費の効率的な使い方ができる状態になったかと思います。新規顧客接点のポートフォリオの改善も実施しています。キューサイはテレビ通販がメインで、Web検索からリスティング広告経由のサイト流入が多いのですが、そこだけに頼らずEC単独で新規顧客との接点を増やすため、SNS広告や縦長動画など新しい媒体へのチャレンジを進めています。

さらに CDP(※)を構築してデータマーケティングを推進しました。私たちのお客さまは定期購入が多く、サイト流入が少ないことも課題の一つです。流入を増やすためにCDPへ購買・行動すべてのデータを集約し顧客単位で、オフライン・オンライン問わずキャンペーン施策が可能な状態にしました。スタンプラリーやくじ引きなどを楽しめるコンテンツを増やし、サイト来訪時に多くの商品を購入いただくためセット商品や1+1施策、福袋などが買えるWeb限定キャンペーンを展開しています。これらの施策を伝達する手段として、あらためてメール・LINEによるコミュニケーション量も増やし、メルマガ登録者数とLINEのID連携はそれぞれ増加傾向を維持しています。

※KPI:Key Performance Indicator の略で、日本語では「重要業績評価指標」と訳される。目標達成に向けた進捗を管理する指標。
※CDP:Customer Data Platform。顧客データを統合して管理するデータベース。

――現在、東京オフィスで注力していること、今後目指していきたい方向性を教えてください。

山田氏:一つはマルチチャネルの推進です。キューサイは健康食品・スキンケア商品をメインに取り扱っていますが、商品ラインナップを拡大するにはどうしても時間がかかってしまうので、マルチチャネル化を進めています。テレビのインフォマーシャルを中心に据えて、ここ東京でデジタルとリテールの強化を図ります。本社のある福岡では商品開発などを手がけ、東京がフロントに立ってマーケティングの仕組みを構築していく未来も見据えています。

小森谷氏:現在、私たちが注力しているのはAIを活用したデータマーケティングです。CDPのデータを直接AIエージェントが分析できるようにすることで、分析からの示唆出しだけでなく、セグメント化・シナリオ化から施策の展開まで自動化も可能になります。各種キャンペーンやメール・LINEの効果分析をしてPDCAを回すというプロセスの圧縮ができるとともに、より精度の高いPDCAを回せるようになると期待しています。また、各種施策がPLにどのように影響を与えているのかも分析できる状態にしたいと考えています。

営業と販売の会社から、将来はマーケティングの会社へ

――商品別の売上の比率を教えてください。

山田氏:コラリッチをはじめとする化粧品と健康食品が概ね半々、青汁は全体売上の1割以下です。

――青汁というと以前放送されていた「まず~い、もう一杯!」のCMが印象的ですが、味の改良などは続けているのでしょうか?

山田氏:青汁は使用する葉(ケール)の改良を続けており、味もだいぶ飲みやすくなっています。私はほぼ毎日飲んでいますが、まずいどころか美味しいくらいです(笑)。

――今後の展望、オプトに期待することを教えてください。

山田氏:今はテクノロジーの変化があまりにも速く、国内外にいろいろなプロダクトが存在しています。私たちの戦略や思い描くストーリーにはどのようなテクノロジーが最適なのか、検索するだけでは分からない状況です。結果すべてのプロダクトを試す必要があるので、オプトにはぜひその部分のコーディネーションをお願いしたいですね。現状のキューサイは営業と販売の会社ですが、将来的にはマーケティングの会社に変わっていきたいと強く思っています。

小森谷氏:キューサイは2025年10月に60周年を迎えます。これまでインフォマーシャルによるテレビ通販を中心に成長してきましたが、AIをはじめとする最先端のテクノロジーを活用して、テストマーケティング含めて実行できる体制を整えていきます。福岡と東京で、インフォマーシャルで築き上げてきた知見と、新しいマーケティング手法と技術を融合させることでキューサイという会社がもう一段上のステップに行けると考えています。目指すのは通販業界でのナンバー1です。

伊藤:最新のテクノロジーを活用した施策については、小森谷さんと常にディスカッションを重ねています。変化の激しい時代には、チャレンジを重ねることが重要です。会社としての「あるべき姿」が描きづらくなっている業界なので、競合他社もそこには苦戦しているはずです。これからもオプトはキューサイさまと伴走できるパートナーであり続けたいと考えています。

各種お問い合わせ・ご相談は
こちらからお願いいたします。