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既存顧客との関係を深め、良質なCXを生み出す。LTVの向上に欠かせないオプトのCRM支援

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  • 清水 啓介

    株式会社オプト
    CXコンサルティング部
    部長

    清水 啓介

    株式会社オプト
    CXコンサルティング部
    部長

    通販企業の企画部門やメディア企業での営業・制作・マーケティングを経て、2019年にオプトへ入社。顧客分析に基づくCRM戦略立案・施策設計・運用、クリエイティブ制作、ロイヤルティ向上を目的とした顧客体験の調査・分析・施策立案などに従事。2024年より、CRM実行支援やロイヤルティ向上支援を行うCXコンサルティング部部長に就任。

顧客一人ひとりと長期的な関係を構築し、顧客のリピート率とロイヤルティを高め、事業収益の最大化を目指す取り組みの一つであるCRM(Customer Relationship Management)。日本語で「顧客関係管理」と略されるこの施策は、データを軸としたビジネスが普及した時代になり、その重要性が急速に高まりつつあります。

オプトが提供するCRM支援は、戦術の設計から運用の実行、マーケティング効果の検証を行い、顧客企業のエンドユーザーとの関係性構築を一貫して支援するサービスです。株式会社オプト(以下、オプト)CXコンサルティング部 部長 清水 啓介(以下、清水)が、オプトがCRM支援を実施する理由やそのメリットについてお話します。

マーケットシェアよりもカスタマーシェアが重視される時代に

――マーケティング環境は昔と比べてどのように変化しているのでしょうか?

企業活動として、新たな顧客との出会いを通じてマーケットシェアを伸ばすことは、もちろん継続して取り組んでいく必要がありますが、既存顧客との関係値を高めていく、いわゆるカスタマーシェアの重要性が高まっていると感じます。

理由は大きく三つあります。まず一つ目が、日本においては人口が減少し、インターネットの利用者数も頭打ちになっており、新たな顧客と出会える機会が少なくなっていること。二つ目が、これまで新たな顧客との出会いのために広告施策に利用していたcookieやIDFA※に制限がかかり、従来通りの広告施策が難しくなってきていること。そして三つ目が、生活者の価値観やライフスタイルが複雑化、かつ多様化していることに加え、SNSや広告など、生活者がサービスや商品の情報を得る媒体が増えた結果、顧客との接点が分散しており、今まで以上に新たな顧客から選ばれることの難易度が高まっていることです。

以上の理由から、個々の価値観やライフスタイルに沿ったコミュニケーションを図り、既存の顧客との関係値を高めていくことが重要になってきています。企業としてもマーケットシェア拡大から、カスタマーシェアを延ばすためにリソースを変化させていく必要があると考えています。

※IDFA:Identifier for Advertisersの略称。Appleがユーザーの端末にランダムに割り当てるデバイスIDのこと。IDを活用すると、カスタマイズした広告を配信することができる。

――カスタマーシェアを重視する姿勢が、LTVの向上につながっていくのでしょうか?

そうですね。カスタマーシェアを伸ばす取り組みそのものが、既存顧客との関係値を向上させ、LTVの最大化に寄与していきます。

新たな顧客に商品やサービスを利用いただくまでのコストは既存顧客の5倍

――CRMのメリットを教えてください。

CRMとは一人ひとりの顧客と長期的な関係を構築して、顧客のリピート率やロイヤルティを高めて、事業収益の最大化を目指す取り組みです。CRMを活用すれば、顧客に合わせたコミュニケーションを取ることができます。顧客がその企業のサイトを閲覧したり、商品やサービスを購入したり、多様な接点で得た情報を活用することができるので、一人ひとりにあわせたコミュニケーションを取れるようになります。
その結果、顧客の顧客体験を高めることにつながり、リピート率を高めることができます。リピート率を高めることは、顧客企業と永続的に関係性を構築していくための第一歩となります。小売業界を例にとると、多くの顧客は、初回の購入に留まってしまい、2回目以降の購入がされにくい傾向にあります。この2回目以降の購入の壁を越えることでその後も継続して購入いただける可能性が高くなり、顧客企業に対するロイヤリティも高まっていきます。

――顧客と長期的な関係性を築くことでどのような利益があるのか、定量的な数値はありますか?

例えばコストの話をしますと、新たに出会った顧客に、初めて商品を選んでいただくまでのコストを5とすると、ロイヤル顧客にかかるコストは1といわれています。また、顧客の離脱率を5%改善すると利益が25%向上するというデータがあります。そして、全体の2割を占めるロイヤル顧客の存在が、利益の8割を生んでいるという「パレートの法則」があります。長期的な関係性を築くことは、顧客にとっても顧客企業にとっても良い影響をもたらすのです。

戦略設計から運用支援、最終的には内製化支援を目指す

――オプトが提供するCRM支援の具体的な流れについて教えてください。

私たちはCRMの戦略設計から運用支援、最終的な内製化支援までを一貫して支援いたします。最初の戦略フェーズでは、顧客企業のカスタマーデータから現状の課題を見つけます。具体的な改善点を洗い出し、KPIを設定する取り組みです。売上構造や顧客のリピート傾向を理解したり、ロイヤル顧客の特定と行動因子を分析したうえで、改善幅が大きいポイントを見つけていきます。

次が戦術設計です。顧客のデータをもとに、誰にいつ何をどのような情報を届けるか、コミュニケーションの最適化を目指す施策を設計していきます。具体的には、どんな顧客に、商品購入から何日後のタイミングでご連絡するのか、手段はメルマガかSNSか、伝える情報はどうするのか、そういった戦術を設計するフェーズです。運用支援では、その設計した施策のPDCAを回すための支援をします。施策が本当に有益なのか、ABテスト等をしながら、KPIに対する寄与度や効果を検証していきます。

――CRMの内製化支援も行っているのはなぜでしょうか?

顧客企業とオプトがともにWin-Winの状態になるのが理想だと考えています。費用削減や社内にナレッジを溜めていきたいという理由で内製化を目指している顧客企業には、運用のためのナレッジ提供はもちろん、CRMの勉強会やデータ分析の共有会なども実施しています。もちろん、オプトによる支援を望んでくださっている顧客企業には継続的に支援を実施いたします。顧客企業が目指す理想の状態を明確にしてプロジェクトを進行していくことで、プロジェクトが終わったとしても、別の新しい課題についてご相談いただける機会も増えてきました。顧客企業とも継続的な関係性を築けるように日々精進しています。

顧客の特徴を分析すること(クラスタリング)により売上が123%向上

――オプトのCRM支援により、具体的な成果を上げた事例について教えてください。

大手ファストファッション企業の事例ですが、顧客を分析してCRM支援を行ったところ売上を123%向上させることができました。具体的には顧客を「1.トレンドの商品をいち早く手に入れたい人」「2.季節に応じて必要なタイミングに買いたい人」「3.とにかくセールで安く買いたい人」に分類して、それぞれの顧客の希望にあわせたタイミング・異なる情報を届けるコミュニケーションをしました。1番の方には夏が終わらない時点から冬のアウター情報を送ったり、3番の方には徹底してセール情報を多めに届けたり、コミュニケーションの改善を続けることで123%の売上増を実現しました。

――CRMという施策は以前より存在しますが、これまでどのような変遷を辿ってきたのでしょうか?

清水:顧客にあわせた対応をするという考え方は、大昔からありました。日々の売買の勘定を記入した帳簿を用いて、お得意様には特に丁寧に接客をするという取り組みです。CRMが注目されるようになったのは、顧客データベースが活用されるようになって、さらに細かく一人ひとりに対して個別最適なコミュニケーションが図れるようになってからです。一方で、データにより施策ごとの直接的な効果も見えるようになり、結果、顧客にモノを買わせることが目的になってしまっている企業も散見されます。こういった目的による施策は、短期的には売上が上がるかもしれませんが、類似サービスが市場に生まれると、顧客に離れられてしまうことにつながります。一人ひとりの顧客に適したコミュニケーションを図り、顧客と長期的な関係を築き、真のロイヤリティが高い顧客を増やすことで中長期的な収益につなげることが、CRM活用のありたい姿です。

良質なCX(顧客体験)を生み出すためのCRM

――では、CRM支援における今後の展望を教えてください。

清水:企業としては顧客に商品をご購入いただくこと、サービスを利用いただくことを重視しがちですが、顧客からすれば商品やサービスの購入前はもちろん、購入後もブランドとの付き合いは継続しています。例えばアパレル業界であれば購入した商品に対して、どのような思いで商品を開発したのか、どのようなコーディネートをするのがお薦めかといった提案をすることで、顧客に企業やブランドを好きになっていただくきっかけが生まれます。

購入前から顧客との関係性づくりを設計することがCRM活用の本来の役割になっていくでしょう。それが結果として顧客に選ばれ続ける理由にもなり、また、口コミなどの評価から新たな顧客との接点にもつながる、ロイヤリティーループが生まれていきます。オプトは今後とも、顧客の顧客体験を高めるためのCRM支援を提供していきます。

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