CASE STUDY

事例紹介

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手つかずの顧客データを統合してマーケティングに活用し、既存顧客のUU数が117%にアップ〜顧客体験を最大化しLTVの向上に寄与する〜

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  • 大井 綾子

    株式会社オンワードパーソナルスタイル
    営業本部 DX部

    大井 綾子

    株式会社オンワードパーソナルスタイル
    営業本部 DX部

    2016年より株式会社オンワード樫山で、オンワードメンバーズ責任者として会員数の拡大、LTVの向上に取り組む。2018年より株式会社オンワードパーソナルスタイルにて、オーダースーツビジネス「KASHIYAMA」のマネージャーとして店舗マネージメント業務に従事。2019年から現在、同社DX部ゼネラルマネージャー。カスタマーサクセスプロジェクトのプロジェクトリーダーとして営業販売部門のDX・CRMのDXの構築を行う。KASHIYAMAのカスタマーサクセスに取り組んでいる。中でもCXの向上に注力し、KASHIYAMAファンをつくることに鋭意努力中。

  • 清水 啓介

    株式会社オプト
    CXコンサルティング部

    清水 啓介

    株式会社オプト
    CXコンサルティング部

    2019年にオプトへ中途入社。顧客分析に基づくCRM戦略立案・施策設計・運用、クリエイティブ制作、ECサイトや同梱物改善に従事。顧客体験やロイヤルティ向上のためのCX調査・分析・施策立案などを実施。2020年にプロジェクトマネージャーとしてKASHIYAMAカスタマーサクセスプロジェクトに参加し、CRMおよびCXの向上に向けてプロジェクトを進行している。

「オーダーメイドの民主化」を掲げ、上質な着心地のオーダーメイドスーツを低価格・短納期で提供する株式会社オンワードパーソナルスタイル(以下、オンワードパーソナルスタイル)さま。同社が、大規模なDX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトを開始するタイミングで、オプトの伴走が始まりました。同社が当初抱えていた課題は、顧客データが社内に散在していたことから、分析のみならず、施策への活用が進められていないことでした。そのような課題を抱えていた同社において、オプトが伴走することで、どのようなマーケティング施策を進められたのでしょうか。オンワードパーソナルスタイル 営業本部 DX部 大井 綾子氏(以下、大井氏)と、株式会社オプトCXコンサルティング部 清水 啓介(以下、清水)が、これまでの両社の軌跡を振り返ります。

顧客データが社内に散在し、データを活用した分析や施策への展開が道半ばだった

――貴社の事業概要を教えてください。

大井氏:オンワードパーソナルスタイルは、2017年に株式会社オンワードホールディングスの子会社として設立され、オーダーメイドスーツのブランド「KASHIYAMA」の衣料品の企画・製造・販売などを行っています。KASHIYAMAは「オーダーメイドの民主化」をかかげ33,000円(税込)からオーダーメイドスーツの提案をしています。これまで、採寸から納品まで約1カ月かかっていましたが、自社の新システムを導入することで、工程を削ることなく生産日数を短縮し、最短1週間でお客さまのご自宅にお届けしています。現在は、全国に68店舗を展開しています。(2024年4月時点)

――オプトが支援させていただく以前に抱えていた課題はどのようなものでしたか?

大井氏:オプトに依頼する以前は、お客さまの購入履歴や特徴などの顧客データ(許諾済みのもの)が、店舗ごとに管理・保管されており、社内のさまざまなところにデータが散らばっていました。そのため、データの統合や分析、施策への活用などを全くやり切れていませんでした。社内で話し合いながら「こうなんじゃないか」と曖昧な仮説を立て、施策を実行していた私たちに、データと向き合いながら物事を進める道筋を作ってくれたのがオプトでした。当時、私たちは、大規模なDXプロジェクトを始めようとしていたタイミングで、オプトには、そのプロジェクトにおけるコンサルティング担当として入っていただきましたが、コンサルティングのみならず、現場でプロジェクトを動かす実行部隊としても支援させていただきました。プロジェクトを推進するうえで、まず取り組んでいただいたのが、データと向き合うための環境構築と、有効的に活用するための土台づくりでした。具体的には、各店舗など、社内に散在する顧客のデータを一つに統合するシステムの設計や構築です。

――このような依頼を受けて、オプトとして、どのように対応しようと考えましたか?

清水:まずは、お客さまのデータが接客やマーケティングに活用できる形で、一元管理されていない状態を解決するため、データベースや各種マーケティングツールを活用し、デジタルマーケティング施策を実行できる環境を整備しました。具体的な施策としては、マーケティングツールを活用したメールマーケティングになります。また、システム設計と構築については、主にCDP※(カスタマー・データ・プラットフォーム))の導入を行いました。その際に、基本的なデータ構成のみならず、オンワードパーソナルスタイル様のビジネスモデルや想定する施策に沿った形で、今後のマーケティングで活用できるように保有データの設計と構築を行いました。

顧客データベースを分析し、いつ・誰に・どのようなコミュニケーションをメールで行うのが良いかを設計した上で、施策を実行できる状態を整備しました。それまでは、お客さまが欲しいと感じるタイミングで情報を届けるのではなく、企業側が届けたい情報を企業側のタイミングで一律にお届けしていました。そのため、どれだけ良い情報を送っても、人によって受け取るタイミングが最適ではないことも発生していました。そのようななか、まずは各店舗や社内に散在するデータを統合し、そのデータを分析することで、お客さま一人ひとりにベストなタイミングを導き出し、メールを送るように改善いたしました。

大井氏:私たちが扱っているオーダーメイドスーツという商品は、一人のお客さまが購入するサイクルが比較的長いことが特徴です。そのため、一ヵ月に何度も購入にお越しになる方はほぼいらっしゃいません。オプトからは、購入のサイクルが長いからこそ、お客さまが欲しいと感じるタイミングで、お客さまが欲しい情報を盛り込んだメールを送ることが効果的だというご提案をいただき、実行することにしました。どのようなお客さまに、どのようなタイミングでメールを送るかというシナリオを、一から一緒につくってくれました。このシナリオ作成について、データ分析の知見が豊富なオプトと一緒につくることができたことは、すごく助かりました。このシナリオのおかげもあり、実際に来店にも繋がっていると感じています。

※CDP:自社が持つ顧客データを収集、統合するためのデータ基盤のこと。

持続的な関係性を構築するために行ったお客さまの生の声を知るインタビューが奏功

――オプトとの関わりはいつ頃からでしょうか?

大井氏:2019年頃からです。最初にデータ分析の環境整備を進め、それを終えてから、クラウドサービスを活用したDX施策として、CDPも含めたシステム全体を一緒に構築していただきました。テストマーケティングを含めて、2020年頃からは、メルマガやCRM(顧客関係管理)を中心に支援いただいています。

清水:オーダーメイドの商品は、お客さまそれぞれの好みが特に反映されるため、CRMの施策には力を入れています。CRMのなかでも、今はメール以外にサイトの分析や、サイト上のコミュニケーションを良くするための支援もさせていただいています。

大井氏:オプトには、CX(カスタマーエクスペリエンス)の分野でも支援いただいています。その一環として、初めてお客さまへのインタビューも実施しました。オーダーメイドスーツという商材の特性上、ほとんどのお客さまが一度きりの購入になってしまうなかで、継続的に購入してくださる方たちを知ることの重要性をこのインタビューを通して教えていただきました。お客さまへのインタビューは、オプトからのご提案がなければ、私たちだけでは恐らくできなかったと思っています。今では、インタビューで出た課題を社内で共有し、改善案に繋げています。

※CX:顧客体験価値と訳されることが多く、機能や品質、量、価格といった合理的な価値だけでなく、商品やサービスにまつわる体験を価値として顧客に提供する考え方のこと。

――インタビューは具体的にどのように実施したのですか?

大井氏:お客さまへのインタビューは、オプトを通じて行いました。お客さまの顔は出さずに、インタビューの音声のみを弊社のスタッフ全員に共有しました。通常、現場のスタッフに対して、「お客さんがこう言っていた」や「アンケートでこういう結果が出た」と伝えても、「そうなんだ」で終わってしまいます。しかし、実際にお客さまの生の声を聞くと、「お客さんはこう思っているんだ」と実感が湧くのです。このインタビューを通して、普段お客さまと向き合っている現場のスタッフに、お客さまの声を伝えたかったものですから、とても良い機会でした。

清水:インタビューの前に、CXの文脈で定量調査を実施していました。お客さまにとって良い体験とは何なのかを見出し分析し、その良い体験が向上すると売上に寄与するという相関を明らかにしたかったのです。その調査で分かったことは、店舗スタッフの接客が一番重要であるということでした。そこで、どのような接客が良いのか・悪いのか、感動した接客とはどういうものか、商品の仕上がりなども含めた良い体験・悪い体験を深堀りするために、定性調査に移ったという経緯があります。

「良い顧客体験」がLTVの向上の源泉

――本件でのオプトの施策について、LTVという観点からはどのようなことを意識しましたか?

清水:LTVの向上という点では、やはり良い顧客体験があってこそで、スーツを購入する時の満足度をいかに高めるかが重要だと考え、その点に注力しています。ECサイトやCRMなどさまざまな施策を行っているなかでも、主にメールマーケティングに注力しています。お客さまごとの購入回数や購入金額によってコミュニケーションを細分化し、求められている情報を、求められているタイミングで送るシナリオをブラッシュアップしています。これにより、一度だけの購入では終わらず、再び購入したいと感じてくださる確率が上がるため、LTVの向上に繋がると考えています。

顧客体験という意味では、定量調査と定性調査を終えて、重要な体験が二つあると発見しました。それは、接客のタイミングと、商品を受け取るタイミングです。来店して接客を受けた次の日や、商品が届く頃にメールでアンケートを送るのです。これにより、満足度や良い体験・悪い体験をなるべくリアルタイムに把握し、PDCAをまわすことで、LTVの向上に寄与することを想定しています。また、通常のメルマガの開封率は約20~30%くらいに留まりますが、重要な体験である、購入後や商品が届くタイミングでメールを送ると、その2倍となる約50~60%の開封率になります。このようなことから、お客さまが興味のあるタイミングで、興味のある情報を送ることの成果が、数値としても実証できていると考えています。

クライアント企業はもちろんのこと担当者のために力を尽くす

――最後に、今後オプトに期待することや、理想の関係性についてお聞かせください。

大井氏:オプトの皆さんは、常に身近にいてくれるので、相談がしやすいと感じています。オプトにお願いしている分野は決まっていますが、それ以外についても相談しやすい関係性です。例えば、ChatGPTの使い方を教えてもらったこともあります。今ではDX全般について、相談ができる存在です。自分たちが知り得ない情報もたくさん持っており、その情報のなかから、弊社に合うものをどんどんご提案してもらっていることがありがたいです。私たちは、仮説を立てることがそれほど上手ではありません。そのため、データ分析による仮説をたくさん提案いただけるオプトには、とても感謝しています。

清水:私たちとしては、大井さまがいつもとても明るくて、さまざまなことに寛容で、チャレンジする機会もくださるため、とても感謝しています。チームメンバーの総意として、オンワードパーソナルスタイルさまのお客さまのお役に立ちたいという気持ちはもちろんのこと、大井さまのお役に立ちたい、大井さまを助けたいという想いを強く持っています。これは、オンワードパーソナルスタイルさまとのリレーションのなかで辿り着いた、一つの答えだと感じています。

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