Interview
※本文は取材当時の情報です。2024年4月1日より、株式会社デジタルシフトは、株式会社オプトに統合しております。
2020年に設立した株式会社デジタルシフト初代MVPは、丹沢宏美(2013年新卒)の頭上に輝きました。アカウントプランニング部 部長として部門戦略構築やメンバーマネジメントを行う丹沢は、オプト時代にあたる2017年にも準MVPを受賞。成果とプロセスを重んじ、努力を続ける人間性は当時から変わらず、むしろ変革のさなかにある当社グループのなかで、その存在感は増すばかりです。
デジタルシフト社に出向後の丹沢は何を思い、どう仕事を進めてきたのでしょうか。いまの思いとこれからを尋ねました。
コンサルタント職に転身も、2カ月で営業職にリターン
丹沢 「再び営業を任されることになるとは、まったく想定していませんでした」
そう話し始めた丹沢は、今年2月にオプトの営業部門から出向し、デジタルシフト社(以下、DS社)のDXコンサルタントに。以来、担当になったお客様とともにこれからDX戦略を進めていこうという矢先、新年度の組織改編により、キャリアの転向を早々に迫られることになります。
丹沢 「同時に発令された人事異動により、それまで社員30人ほどのDS社にもオプトから200人が転籍してきました。その結果、会社の営業力が希薄化してしまうという事態に。これから誰が営業を引っ張っていくのだろうかと気にしていると、上司から『営業に戻って部長をやってくれないか』と声がかかりました。『営業でやり残したことはない。これからはコンサルタントの経験を積みたい』と意欲を燃やしていたところだったので、当初、コンサルティング部門から離れがたい思いもありました。けれども、周りを見渡すと、確かにわたし以上の適任者はいないと思いましたし、部長を任せてもらえるなんて、またとないチャンスですから」
こうして営業部門に今度は部長となって舞い戻ることに。いまは、「オプト時代とはまた違う忙しさがある」とし、丹沢は次の言葉を継ぎます。
丹沢 「物理的な忙しさを感じることはありませんが、日々たくさんのアポイントメントがあるので、常に頭をフル回転させています。というのは、DXの課題はお客様ごとに異なるのはもとより、マーケット自体が黎明期であり、誰しもが暗中模索している状態だからです」
もっとも、DXは領域が非常に幅広い市場です。新規事業の創出にはじまり、マーケティングオートメーション、サプライチェーンの最適化、社内業務の効率化……のように、会社の数だけ種々さまざまな課題や要望があります。
丹沢 「いまのわたしの仕事は、こうしたお客様のお困りごとについて学び、DS社のプロダクトのなかから最適なリソースを提案することですが、日本にはDXの成功事例が少なく、『これをやれば必ずうまくいく』という手法が確立されていません。お客様の課題解決に向けて動くことはもちろんやりがいですが、このように難しさもあります。これはコンサルタントをしていたときから感じていたことです」
人に学び、書籍に学び、海外に学び、お客様に学ぶ
雲をつかむような事象に、輪郭を付け中身を加えていく――。こうした答えのない仕事を前に、丹沢が心がけているのは、常に勉強する姿勢です。DXの先駆者と言われる専門家の話を伺ったり、セミナーに参加したり、本を読んだり。なかでも、取り組みの進む海外の事例は膨大な量を調べたと言います。
丹沢 「市場が常に変化し続け、他社も参入するなか、お客様のなかにもDX推進組織を立ち上げるところが目立って増えています。こうして市場が活性化すると、お客様が求めていることも刻々と変わるので、サービスを提供する側も絶えず進化していかなければなりません。こうした動向を正しくキャッチアップするためには、やはり勉強は欠かせません」
と言いつつも、丹沢にとっての一番の学びは「お客様との会話」です。
丹沢 「お客様が、どのような思いのもと、どのような取り組みをしているのか、熱く語るその傍らでヒントを拾い、目の前のお客様にはもちろん、他のプロジェクトにどうすれば活用できるのか、考察することも大切にしています。さらには、当社が提供できるソリューションも『この悩みには、これ』のように一辺倒ではなく、お客様の成果と成長に資するものを常に提供できるよう、アップデートしていく必要を感じています」
そのための場として設けられているのが、経営サイドとの定例ミーティングです。お客様から伺った話を、DS社が提供するサービスへと落とし込む大切な機会になっています。
丹沢 「しかし、サービスの提供体制がオプト時代のままなので、アジャストできない部分も正直多いと感じます。ですから、進むべき方向性の提言やアイディア出しも積極的に行っています。わたしがオプトからDS社に異動した以降も、DS社の経営戦略はどんどん変わっています。けれども、これはお客様のニーズを中心に置いているからこそ。とても健全な変化だと思っています」
大切なのは、専門からはみ出し、マルチになること
上述の話からも分かるとおり、丹沢はいま、会社だけでなく、人も組織も変化していかなければならないという思いを強くしています。
丹沢 「繰り返しになりますが、DX市場は黎明期であり領域も幅広く、周辺部分にもお客様の困りごとはたくさん隠れています。これらをカバーできるアクションが求められているのですから、『それは私たちの守備範囲じゃありません』と言っているうちは、お客様は幸せになれません。
デジタルホールディングスのパーパスにある、『新しい価値創造』は、社会に対する約束だと思っています。これを叶えていくためには、いままでのような縦割り組織では、到底太刀打ちできない。もっと言うと、いままでの文化を捨てて常に変わり続けなければ、世の中にも最早乗り遅れてしまうでしょう」
そこで大切になるものとして、丹沢は「はみ出す力」を口にします。
丹沢 「これからは、一つを深く掘るというよりは、あらゆることをマルチに進めていく力が求められていくのではないでしょうか。自分の専門ではないけれど、勉強をして提案できるようにする。これって、ベンチャー企業なら誰もが当たり前にやっていることだと思うんですよ。もちろん自分の専門分野はあったほうがいいと思いますが、それだけに固執して歯車的に仕事をするのではなく、『自分はもっとできるんじゃないか』という自発的な発想のもと、いろいろなスキルを習得して新しい価値をつくる。そのために、いまのままで足りているのかを社員一人ひとりが考える時期に来ていると思っています。これは、DS社をはじめ、当社グループが変革を加速させていくうえで大切な視点と考えますし、会社もまたこの方向に舵を切ったと理解しています」
自分と会社の『will』が紐づいていれば道筋は変わらない
今年4月の組織改編以来、当社グループは大きなうねりのなかにあります。こうした変化をものともせず、人一倍の挑戦と行動によって成果を生み出し、MVPに選出された丹沢が改めて大切にしていることとは――。
丹沢 「自分の『will』と会社の『will』を紐付けて、取り組みを続けることです。
わたしは社会人になったときから、どの時代でも必要とされ続ける人間になりたいと思ってきました。これはビジネスシーンでいう、“市場価値が高い人間”のことなのですが、そうなるためには、新しい市場で精通者の少ない、かつこれから必ず成長する場所に身を置く必要があります。DS社に行ったのも、自分の市場価値を上げたいという自分の『will』と、DXで新しい価値を見出し、お客様と事業を創造するという会社の『will』が紐づくから。つまり、環境が変わっても、なりたい自分になるための道筋が変わらなかった、ということです」
このように思いの丈を語る丹沢は、DS社の一員として社会に対し、どのような新しい価値を届けていきたいと思っているのでしょうか。
丹沢 「DX市場に足を踏み入れて以来、アナログのまま置き去りになっていた課題もデジタルシフトすることで、その多くが解決できることをひしひしと感じています。
例えば、当社では日々当たり前のようにオンライン会議を行っていますが、世の中にはこの土台のない会社があることも事実であり、ウイルス感染のリスクにさらされながらも出社を余儀なくされている人がいます。こうした不安や不満をデジタルの力で整備し、時代に即した環境を創っていく。その環境こそが、“新しい価値”です。つまりは、お客様や、エンドユーザーである生活者が発信する『本当はこうしたい、こうありたい』『こうだったらいいのに』のサインはすべて新しい価値を生み出すきっかけです。
この世に人がいる限り、課題が尽きることはありません。こうした一つひとつに耳を傾け、小さなことからでも新しい価値を届けていくことが大事だと思っていますし、この積み重ねによってデジタルを活用したアップデートがどんどん行われることが当たり前の世の中をつくることもまた大切です。いまはまだ正解がないので、がむしゃらに進むだけですが、そうやってもがくなかで、お客様がハッピーになれて世の中の先駆けにもなる事例を自分の手で生み出せたらいいなと思っています」