Interview
※本文は取材当時の情報です。
2024年1月から、アプリスペシャリストとして、アプリマーケティングに関わるあらゆる案件に携わる名取虎之介。アプリ領域の確立に情熱を注ぐ、名取のこれまでの経歴と目指す先に迫ります。
「好き」と「関心」を突き詰めた学生時代。今につながる学びとは
少年時代は、サッカー一筋だった名取。小学2年生から始め、高校3年時にはインターハイにも出場。スポーツ推薦での進学を考えていたものの、怪我の影響もあり進路の再検討を余儀なくされます。
「動揺しながらも気持ちを切り替え、受験勉強に励みました。ただ、勉強も始めてみると、おもしろいものです。たとえば、英語ならある日聴き取りができるようになったり。楽しめるポイントを見つけながら取り組めたことが良かったのだと思います。サッカーもそうですが、好きだと思えたことなら、幼少期から突き詰めるためにエンジンを入れて頑張れるタイプですね」
その後の大学時代には、国のプログラムを使って1年間にわたる留学を経験。米・カリフォルニアの大学で広告・ジャーナリズムを専攻するなか、勉強に比する学びをアメリカの学生から得ることができたと振り返ります。なかでも強烈だったことを、名取はエピソードを交えながらこのように話します。
「アメリカの学生は自分の意見をどんどん発信し、相手との議論を楽しむ姿勢を持っています。逆を言えば、自分の意見を持っておらず、周囲に意見を伝えられないことは致命的で、誰からも頼りにされません。この経験から、自分に考えや意志がないと発言すらできないことに気づき、何をするにも信念を持って取り組もうと思うようになりました。仕事の場でも、部の戦略を提言すると同時に『私にチームを持たせてください。〇〇を実現します』とコミットメントし、実現できたことがあります」
新卒1年目、頼られるうれしさと成長という確かな手応えを実感
留学中の学習内容から派生し、コミュニケーション領域に関心を持つようになった名取は、その現場を知るため、帰国後マーケティング系企業でインターンシップを経験。就職活動にあたっても、当初は「コミュニケーション」をキーワードに進めます。
「幅広い業種・職種を検討しましたが、情熱だけでは評価されないことに気づき、本当は何がしたいのだろうとずいぶん考えました。その答えは、『人に信頼されながら働きたい』でした。サッカーや留学、そしてインターンシップの経験から、自分は周りから信頼されている状態がもっとも幸せを感じられることに気づいたのです。そういう環境に身をおいて働きたいと思いました。加えて、新しい業界・職種がゆえに精通している人が少なく、成長機会のある企業なら自身の市場価値も高められると考え、就職活動の軸をデジタルマーケティング、コンサルティング、ITと決めました。これらの私の思いと考えが、もっとも合致したオプトに入社を決めました」
入社後は営業部門に配属された名取ですが、1年目から複数のお客さまを任されることになります。
「思い返すと、1年目はかなりハードに働いていましたが、気持ちは前向きでした。インターンシップ時に広告の仕組みを学んでいたこともあって、仕事に慣れるのも案外早く、私に数社のお客さまを任せられると会社が判断してくれたことや、トレーナーの先輩が『名取に引き継いでもらいたい』と上司に進言してくれていたことが励みにもモチベーションにもなりました」
そんな名取に早くも転機が訪れます。1年目の冬、自ら手を挙げ、コンペティションに参加する機会を得たのです。
「この頃の私は、広告運用のコンサルタントとして、一人でも問題なく業務を進められるレベルに達しており、次のステップとして一つ上の仕事をしてみたいと考えていました。このコンペティションは戦略から戦術までを提案するもので、これらを自分で描き切れたなら、一通りの仕事を網羅できたことになるだろうと思ったのです。実際、広告・クリエイティブ・コミュニケーションのありたい姿を初めて考える、とても良い機会になりました。残念ながらお取引には至らなかったのですが、入社から丸1年を迎えたばかりの私のプレゼンを、先方の担当者が評価してくださったことはうれしかったですね。運用コンサルタントからマーケターになった感触も得られ、仕事の幅が広がりました」
また、このときの上司は「名取がやりたいのなら面倒を見るよ」と、名取をバックアップしてくれたといいます。
「これは一つの例ですが、オプトは仲間に対して熱を持って接する文化があると感じます。一人ひとりのキャリアパスを踏まえたうえで、『こう進んでいくと成長できる』『良い経験が積める』という考えのもとで向き合ってくれるところが、オプトの良さの一つだと思います」
新卒2年目、悔しさから生まれた一歩
入社以来、着実に成長してきた名取ですが、2年目の夏、無力さに打ちひしがれるような経験を味わうことになります。それは、お客さまの持つアプリのマーケティング戦略について話し合う場でのこと。しかし、当時のオプトはアプリに関する知見を有した者が少なく、広告プラットフォーマーの担当者からオプトが介在する意義を鋭く問われたのです。
「本来ならオプトが双方をリードし、広告代理店としての価値を発揮していかなければならないのですが、当時の私たちのスキルでは難しく、その指摘に対して何も言えませんでした」
そして、その悔しさは、名取をそれまでとは違うベクトルに向けることになります。
「この日を境に、オプトでアプリマーケティングの強化に取り組むか、それとも外に出ようか、と悩むようになりました。当時、広告運用の効果を高めていくためには、AIソリューションの貢献度はますます高まるだろうと思い、今後のキャリアを考えるうえでその道に進んだ方が良いのではないかと考えるようになりました」
その後、思うとおりに転職を決めた名取は、退職の意向を上司に報告。そこに至るまで何の相談もなく決めたことを叱責されるも、本人の意志は揺るがず、1か月以上残留を固辞し続けたといいます。そこから一転、首を縦に振った背景には、尊敬する先輩から、「アプリマーケティングにかかわるソリューション開発を、名取がゼロからすればいい」と提案されたことにありました。
「こんな魅力的なオファーをしてもらえるのなら、オプトで頑張ってみようと思い直しました。なぜなら、マーケットニーズを捉えて新規でソリューションを生み出し、ビジネスとして成り立たせていく過程に携われる経験は、私にとって間違いなくプラスになると思ったからです。そして、それ以上に自分の力で『オプトは、アプリの領域で勝負できないのか』という問いへの挑戦に、純粋に興味がわきました。
オプトの介在価値を問われたときに、『私が担当じゃなくてもよかったんだ』と感じ、悔しく思いました。この気持ちをバネに、アプリマーケティングに腰を据えて携わることで、自分がお客さまのプロジェクトに関わる意義をつくりたいと思いました」
一念発起した名取は、誰よりもアプリマーケティングに詳しくなろうと研鑽に励みます。社内コミュニケーションツール上に設置されたアプリマーケティングに関する情報を集約したグループ『アプリ未来開発会議』の管理を、現在アドセントラル室の部長を務める西森から引き継いだのもこの頃です。しかし、当時の名取の立場では所属部署が担当する案件はともかく、部署を越えて他の案件に携わることはできず、もどかしさを募らせていました。
「近年、アプリはさまざまな業種で幅広く活用されていますが、考えられる戦略は異なります。各業種の特徴をつかみ、展望を描けるようにならなければ、オプトのアプリ領域が強くなったとはいえません。そこで、全社視点のもと、マーケティング戦略の立案から実行までを支援するアドセントラル室に異動し、全社の案件に携われるように立場を変えることになりました。そして、2024年1月からはアプリのスペシャリストとして、お客さまにオプトを選んでいただくことをミッションに、新規や既存を問わず、お客さまの事業をアプリ領域から支援するための提案に取り組んでいます」
アプリ広告をもっと身近に 自社単独だと難しい部分を任せてほしい
「オプトは、アプリの領域で勝負できないのか」。この問いへの挑戦を続けて早1年。お客さまへの提供価値が生まれ始めた、と名取は自信をのぞかせます。
「いまなら、『オプトが介在する価値がある』と考えています。実際に、新規のお客さまとのお取引も増えてきました。ソリューションの企画開発や、最新の計測環境の整備を通じて、アプリマーケティングがオプトの強みとして現れてきているいま、さらなるブラッシュアップを図ることで、お客さまにより価値を提供できる組織にしていきたいです。いずれは、アプリマーケティングを事業の柱に据えられるように育てていきたいです」
アプリマーケティングの未来を語れるまでに手ごたえをつかんだ名取ですが、その時代が訪れるころ、アプリマーケティングの世界はどのような様相を見せているのか――。ぼんやりとしか輪郭を描けていないと言いながらも、本人は「アプリ広告が身近で気軽に活用できるプロモーション手段になっているといい」と言葉にします。
「いまでも十分アプリ広告は開かれた手段として使いやすくなったと思うんですが、知見がないと難しい部分もやはり残っています。そんなときこそ、広告代理店とプラットフォーマーとの三者でつながる関係が構築されるあり方がよいのではないでしょうか。『運用はインハウスで』というお客さまも増えつつあり、私たちの支援範囲は今後変わっていくのかもしれません。けれども、お客さまが不安に思われる部分や不得手な部分、計測の煩雑な部分はぜひ私たちを頼ってほしい。各方面と協力体制を敷きながら、引き続きアプリマーケティングに取り組んでいきたいです」