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「時代にフィットした形にビジネスを変革」。サントリーの使命を実現する、オプトのLINEマーケティング

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総合飲料メーカーのサントリーホールディングス株式会社(以下、サントリー)。オプトは以前より、LINEを活用した数々の施策で、同社が手がける若者をターゲットにした飲料や、アルコール飲料のマーケティング施策のサポートを行ってきました。販促の場が次々とデジタルに置き換わる時代において、単なるLINE公式アカウントの運用にとどまらないオプトならではの戦略とは。サントリーホールディングス株式会社 デジタル本部 デジタルマーケティング部の吉田 武生氏と赤川 沙也香氏、株式会社オプト マーケティング開発本部 CX CREATION1部の早田 翼、辻 香苗の4名が意見を交わします。

顧客と長期的な関係を構築できるプラットフォームをつくる

――オプトとの取り組みが始まる以前に、貴社が抱えていた課題について教えてください。

吉田:近年、販促の場が、旧来の4マスと呼ばれる媒体から、リテールメディア※やデジタル広告へと広がっています。結果として、メーカーとしての情報発信が分散してしまい、ユーザーと長期的な関係を構築するための一貫したメッセージを配信することが難しくなっています。そこで、私たちが主体となって販促を行えるプラットフォームを設けようという構想が生まれ、オプトに支援を依頼しました。

※リテールメディア:小売企業が運営する広告媒体。店頭のポップ広告やデジタルサイネージ、専用のアプリやECサイト、SNSなどが該当する。

早田:サントリーさまからお声がけいただき、最初に行ったのは、若者を対象にした飲料のLINE公式アカウントの設立です。数年ほど運用を続けて貯まったノウハウを活かし、2022年にロイヤリティプログラムをリリースしました。ロイヤリティプログラムの内容は、こちらのブランドのLINE公式アカウントを友だちに追加して、商品に貼られたQRコードを読み取ることで、オリジナルの抽選ポイントや、限定特典を得られるというものです。

オリジナルの抽選ポイントを貯めると、コラボグッズなどが当たる会員限定の抽選キャンペーンに参加できます。もう一方の限定特典では、さまざまな電子決済マネーに交換できるポイントがあります。

ゲーム性を持たせた施策で飲用量が1.5倍に

――ロイヤリティプログラムを実施したことで、どのような成果が得られましたか?

吉田:ロイヤリティプログラムという基盤があることで、どのようなサービスを提供すると、ファンになっていただけるのかという点が明確になってきました。店頭で不特定多数に向けてクーポンを配布するよりも、計画的に一人ひとりに合わせたクーポンなどを提供することができるようになり、ユーザーにあわせたコミュニケーションを図ることが可能となりました。

早田:従来のような、マスで広告を打って多くの人に知っていただく施策ではなく、「CRM※の要素を取り入れ、ユーザー一人ひとりに寄り添った施策にしたい」というサントリーさまからのご要望にお応えできたかと思います。スタートから1年半ほどで、当初の目標とする会員数に到達できたため、よりユーザーに楽しんでもらえるよう、ゲーミフィケーションの機能を、2024年の2月に追加しています。それまで配布していたクーポンや抽選ポイントは、人によって使用率や獲得数に大きな差があったため、特定の条件を達成した人は称号をもらい、ランクアップする制度を導入することで、より楽しんでいただける仕組みへとアップデートしました。

※CRM:「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」。一人ひとりの顧客データをもとに、顧客との良好な関係性を維持する施策。

赤川:SNSを検索すると「こういった機能を待っていた」「収集要素が楽しい」という声が見られ、多くの方に楽しんでいただいていると実感しています。この若者向け飲料のファンは、ゲーム好きの方が多く、その方々に刺さる施策を考えていたため、ユーザーの方々の盛り上がっている様子が見られてとても嬉しく思います。

――新機能の導入で、どれほどの効果がありましたか?

吉田:現在は約半数の会員の方にご利用いただき、対象製品の飲用量も1.5倍ほどに伸びました。初動としてはかなり大きな成果ですね。総クーポン費用も圧縮されているため、効率も上がっています。物性的価値ではなく情緒的価値が顧客に伝わって、大きな効果につながりました。

サントリーとして目指すユーザー体験を実現するために

――これまでの施策における苦労したエピソードがあれば、教えてください。

早田:「実現したいサービス」を形にするまでには、かなり時間をかけて議論をしました。時間や予算の制約条件もあるなかで、どうしても「できること」と「できないこと」が発生します。ユーザー体験を考えるなかで実現したい施策について、妥協することなく議論することで、双方が納得できる着地点を目指すことができました。

赤川:オプトからアプリに関する知見をいただきながら、より良いユーザー体験を目指しました。飲料を購入して得られる体験と、無料のスマホゲームの体験は同じものではないため、サントリーとして目指したいユーザー体験について議論を重ねたことが記憶に残っています。

吉田:事業側としては当然売上も大切ですが、私たちはユーザー体験も大切にしたいという想いがあります。早田さんの話にもありましたが、着地点を見つける難しさがありました。

辻:各関係者の意見を取り入れて、制約のあるなかでどのようにユーザーに喜んでいただける体験を提供できるか。そこが議論の白熱するポイントですね。

――では、アルコール飲料のプロモーションについて教えてください。

吉田:酒税改正によって第三のビールが段階的に値上げされることになり、商品の優位性が薄れるなかで、「どのようにブランドの強みを出していくか」という課題がありました。そのような折、社内の議論において、「ブランドにまつわるお客さまの思い出をつくる」という方向で話がまとまり、早田さんにお声がけをしました。

早田:今回の取り組みは、前述の若者向け飲料のプロジェクトと並行してスタートしましたが、こちらは販促に直結するというよりも、ブランドと
ユーザーの関係を紡ぐという情緒的価値を重視した内容です。ブランドの絆が担保されれば、値上がりしても多くの方に選んでいただけると考え、そのための場所として、LINEミニアプリの開発を進めました。

吉田:アプリでは、日々の晩酌のマンネリ化というユーザーのお悩みを解消するために、手軽につくれるおつまみのレシピと、それに関するコラムを、週に1回LINE配信しました。少しこだわったおつまみをつくりたいけれど、毎日そこまでの余裕はない。そういった方に向けて、夕食の準備の延長線上でつくることができるおつまみのレシピをメインコンテンツにしています。実際、このサービスを経て、ユーザーのブランド好意度が上がったこともわかりました。

戦略レベルからディスカッションできるのがオプトの強み

――若者向け飲料とアルコール飲料の取り組みを経て、オプトの強みはどこにあるとお考えですか?

吉田:オプトとは戦略レベルからディスカッションを重ねてきましたが、こちらにおかしい点があれば遠慮なく指摘をいただいています。開発の方々も含めて、皆さんの当事者意識が高く、一人ひとりが自分事として意見を言っていただけるのがオプトです。

辻:会議にはエンジニアもデザイナーも参加して、それぞれ気になった点があれば積極的に発言をしているため、時間が延長することもあります。そういったチーム全員がユーザー体験を追求する点もオプトならではの強みかと思います。

赤川:オプトからは、私たちがやりたいこと以外にもいろいろなご提案をいただきました。お客さまのこと、事業のことを常に考え、新しいアイデアを生み出せる。その提案力に助けられました。

――両社の今後の展望について教えてください。

早田:私たちは商品をつくってお客さまに届けることはできませんが、プライドを持って商品の開発に取り組んでいるサントリーの皆さまを尊敬しています。そんな皆さまと一緒にお取り組みができるのはオプトとしても名誉なことですし、より新しい取り組みに発展させたいと考えています。エンドユーザーにより良い体験をお届けできるよう、チーム一同先導できればと思います。

吉田:私たちは「今の世の中にフィットした形にビジネスを変革させる」という使命を持っています。それはツールとしてデジタルを活用することであり、これまでの取り組みが単発で終わってしまっては意味がありません。ここまでの成功を足がかりにして、サントリー全体のビジネスをどう変革していくのか。遠い道のりではありますが、オプトにはぜひこれからもお付き合いいただければと思います。

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