CASE STUDY

事例紹介

  • Case Study

【株式会社ユナイテッドアローズ様】LTV向上を目指した先進的な広告配信。オプトの「伴走力」と「推進力」とは

SHARE
  • 原 康人

    株式会社ユナイテッドアローズ
    OMO本部
    デジタルマーケティング部
    部長

    音楽小売業界での販売、マーケティング、Eコマースの実務経験を積み、2008年デジタル広告代理店へ転職。クライアントのフロントラインとしてアカウントプロデュース業務を中心に、グループ横断の新規事業開発にも携わる。2019年、ジョイントベンチャーへ出向しアパレル業界での実務経験を深め、2020年ユナイテッドアローズに入社。2023年からデジタルマーケティング部の副部長として、デジタル広告を中心とした集客、CRM、KPI設計、データマネジメント等を担当。

  • 安本 義和

    株式会社オプト
    第1営業本部営業6部
    チームマネージャー

    2016年オプト中途入社。運用型広告を扱うコンサルティングセールス部にてWEB広告コンサルティング業務を経験したのち、アカウントプランニング部へ。主に多品目ECを運営する広告主に対するWEB広告のコンサルタントを担当している。

よりよい顧客体験を提供することを目指し、OMO施策の中でも特に、LTV(顧客生涯価値)の高いクロスユーザー※への施策を強化している株式会社ユナイテッドアローズ。オプトに広告運用を依頼したのは、「ビジネスパートナーとしての信頼」と「目的を達成するまで伴走し続ける姿勢」があったからだと、株式会社ユナイテッドアローズ(以下、ユナイテッドアローズ) OMO本部 デジタルマーケティング部 部長の原康人氏(以下、原氏)は話します。今回は、オプト 第1営業本部営業6部 チームマネージャーの安本 義和(以下、安本)との対談を通じて、先進的な広告に取り組んだ裏側を紐解きます。

※クロスユーザー:店舗とオンラインの両チャネルでお買い物をされるお客さまを表した表現。

売上増加を目的にした広告だけでは潜在層へ訴求できていなかった

── オプトとユナイテッドアローズが、取り組みをスタートするきっかけはどのような経緯だったのか教えてください

安本:ユナイテッドアローズさまが広告代理店の変更を検討されていた際に、コンペティションにお声がけいただいたことがきっかけでした。

そちらを経て、2017年から広告の一部を任せていただくことでユナイテッドアローズさまとお付き合いが始まり、2020年からはデジタル広告の全領域をオプトに任せていただけるようになりました。

原氏:今も毎週コミュニケーションを取らせていただいていますが、オプトさんは「広告代理店の考え方ではない」のが大きな特徴だと感じています。

私たちと同じ目線に立ち、ビジネスをスケールさせるために何が必要で、どのような広告手段が考えられるのか。

広告を出稿するのがゴールではなく、「私たちと一緒に定めた目的をいかに達成するか」という考えを常に念頭に置いていることが、日々のやりとりでも伝わってきます。

それが広告代理店ではなく、ビジネスパートナーと感じる所以であり、そのように接していただけることが、本当に助かっています。

私たちは「感動提供~お客様と深く広く繋がる~」をテーマにしていますので、マーケティング施策のなかでもその点は重視しています。そして、指標として重要なLTVに関しても、単に企業目線で一人のお客さまから得られる利益という目線ではなく、お客さまにとってどのような体験が望ましいのかといった、私たちのテーマを理解して伴走してもらえることも、オプトさんを信頼しているポイントです。

── オプトに依頼する以前に、ユナイテッドアローズが抱えていた課題を教えてください。

原氏:過去、Webとアプリの売上増加を目的にした広告を行っていましたが、潜在層や検討層の方にはアプローチできていませんでした。

そのため、セッション数をKPIにした広告運用を実施するようになったのです。

一方で、ユナイテッドアローズの売り上げのうち、全体の7~8割を占める「店舗」への来店導線も見ておく必要がありました。

ただ、そこに対してはあまり打ち手がなく、課題感を抱いていたため、オプトさんにご相談をしました。

店舗在庫と連動した先進的な広告配信事例

── その課題に対して、オプトが取り組んだ施策について教えてください。

安本:メインのマーケティング施策に関しては、ユナイテッドアローズさまとプラットフォーマーのCriteo さん、モバイル計測パートナー(MMP)のAppsFlyer(アップスフライヤー)さんの4社で一緒に取り組みました。

店舗の在庫情報や売り上げのPOSデータと連携して、各店舗の近くにいらっしゃるお客さまが興味のありそうな情報をパーソナライズし、来店喚起を促す広告配信のソリューションを開発しました。

原氏:例えば、これまでAさんが店舗で購入する商品と、オンラインで購入する商品のデータは連携できていませんでした。

極端にいえば、Aさんが広告を見ているときに、店舗で買った商品と全く同じものが商品レコメンドとして広告配信されることが起きていました。

そこで、店舗とオンラインのデータを連動させて、Aさんの購買状況を反映させたレコメンド広告を開発しました。

安本:今回の取り組みにおける主目的は、あくまで店舗への来店促進です。

一方で、広告配信の対象となるお客さまは、店舗での購入履歴があるため、Web広告やアプリを経由した商品購入の導線もつくることができ、一人のお客さまが店舗とアプリの双方を活用するクロスユースの創出につながりました。

実際に2024年2月に実施したストアキャンペーンの実績として、アプリ上のリテンションを目的としたキャンペーンと比較したところ、アプリと店舗の売上を合算したROASが185%アップと費用対効果が高く、チャネル横断した売上増加に貢献できました。

なお、今回は、ユーザーの位置情報に近い店舗の商品在庫情報を広告に反映させてレコメンドする配信方法と、店舗のPOSデータや在庫情報と連携し、ユーザーごとにパーソナライズされた広告を表示する配信方法となりました。これは、Criteoさんが提供されていたテストプロダクトを活用して迅速にプロジェクトを進めた結果、Criteoさんのなかで世界に先駆けて配信が実施されたという、先進的な事例となりました。

── 在庫連動の広告はアパレル業界でどの程度浸透しているのでしょうか?

原氏:オンラインの在庫と連動した広告は、比較的どのブランドも取り組んでいますが、店舗の在庫までを連動した広告を手がけているのは、まだあまり事例がないと感じています。

安本:店舗の在庫データと連動させた広告については、実施の検討をされているところもありますが、実装に際して、多くのハードルが生じてしまうことから、なかなか踏み切れていない状況と言えます。

ECの場合は、顧客情報が即時的に反映される一方、店舗在庫の場合は全国に展開する各店舗と情報を連携する必要があり、即時性を担保することが難しくなっています。

さらに、店舗在庫の状況を可視化できても、その先の広告施策にまで落とし込むには相当の労力がかかります。

そういう意味でも、今回のユナイテッドアローズさまと手がけた広告は、アパレル業界のなかで、かなり先進的な取り組みだと捉えています。

「お客様に寄り添う広告」の体現を目指すための新たな取り組み

── ユナイテッドアローズは店舗の在庫データと連動させた広告になぜ踏み切ったのでしょうか。

原氏:やはり売り上げ構成比の7~8割が店舗購入を占めているため、オフラインとオンラインを行き来したコミュニケーションが重要だと感じていました。

私自身、従前から「お客さまに寄り添う広告」というコンセプトで広告を運用しています。ユナイテッドアローズらしさを損なわず、ブランドイメージを想起できるようなクリエイティブで、お客さまに受け入れていただくことを大事にしています。

その実現のためには、お客さまに対してより良い商品を、より良いタイミングとして配信できるよう最適化を目指していかなければなりません。

そこから、チーム内でも話し合い、新たな取り組みに着手したのです。

また、ユナイテッドアローズでは「クロスユースの拡大」を目指していますが、Webやアプリのトラフィックが年々増えていることから、消費者行動の変化を感じています。

「店舗で購入する前に、Webやアプリで商品情報を調べるお客さまが増えているのではないか」という仮説を立て、データを分析してみると、実際にそうした購買行動から商品購入につながった売り上げシェアが増えていることがわかりました。

Webやアプリがきっかけとなり、店頭での購入に至った場合も、私たちはOMOだと捉えていますから、そういう意味でも在庫連動の広告は取り組む意義が高いと考えていました。

幸いにも、率先して新規プロジェクトを推進してくれるメンバーに恵まれたこともあり、さまざまなデータの調整や連携の仕方といった難しい部分もクリアし、アイデアを具現化することができましたね。

Criteoさんの協力体制にもかなり助けられたと思います。

結果的には、広告運用をしてくださっていたオプトさんと、Criteoさん、AppsFlyerさんの4社の良い関係性があったからこそ、今回の取り組みが実現できたと考えています。

安本:各社の担当者が集ってMTGを行い、タスクの進行を細かくチェックしながらプロジェクトを進行していきました。一筋縄ではいかない大変さもありましたが、関係各所が協力しながら、うまく形にしていくことができたと感じています。

原氏:実施に向けて、普通はもうあきらめるだろうと思うほどの時間にも、オプトさんは真摯に向き合ってくださいました。
既存の会員プログラムから着想を得たLTV向上施策

── サードパーティクッキー※の廃止などの影響で、アパレル業界においても広告を見直す動きや広告の活用方法にも変化が生じていますか?

原氏:アパレル業界に限らず、広告出稿している企業全体に言えることで、冒頭にお話した目先の売り上げだけではなく、今までアプローチしていない潜在層の新規流入を考えていく必要があるでしょう。

私たちも、今後は自社で抱えているファーストパーティデータ※を活用した広告配信にシフトしていかなければならないと考えています。

直近で、今の広告運用で弊害が起きているわけではないものの、サードパーティデータからの情報は減ってきており、さらに今年からGoogleもクッキーを制限する動きが活発化していくため、広告の活用方法は大きく変わってくるのではないでしょうか。

広告のあり方としては、一般的に目先の売り上げをいかに増やしていくかという考えになっています。

そんななか、私たちもあらためて広告の重要性を考えた上で、お客さまとより長く継続的に付き合っていくためには、LTVの指標が肝になると捉えています。

2023年8月に、会員プログラム「UAクラブ」をリニューアルしたのも、LTV向上を目指した施策のひとつですが、広告に関してもLTV視点で見ていくことができるのではという考えがあり、オプトさんにご相談しました。

※サードパーティクッキー:アクセスしたウェブサイトとは異なるドメインが発行したCookieデータのこと。ユーザーがアクセスしているウェブサイトなどに掲載されている広告などにユーザーがアクセスした際に発行される。

※ファーストパーティデータ:第三者を経由せず、企業が自社で収集して保有している顧客データを指す。

── 「UAクラブ」は以前と比べてどのように刷新されたのでしょうか?

原氏:今までは、購入金額に応じて1円1ポイントで貯まる仕組みでしたが、店舗やECでのショッピングを通じて「UAマイル」が貯まるマイル&クーポン制度という新サービスを導入したことが大きく変わった点です。

UAマイルを一定量貯めると、ショッピングで使用できるクーポンが発行されるほか、お買い物以外のアクションでもマイルが貯まる設計も取り入れました。

このように、お客さまとのタッチポイントを広げることで、関係性を構築していく会員プログラムへとアップデートしたのがUAクラブです。

安本:弊社もUAクラブの考え方に着想を得て、行動を軸に中長期の関係性を構築できそうなお客さまの識別を、データのファクトをもとに行っていきました。

今後に向けては、LTVのスコアリング指標を用いて、広告運用を行っていく準備を進めています。
“付かず離れず”の距離感を保った広告でお客さまとの継続的な関係性構築へ

── 今後、オプトに期待していることや取り組みの展望を教えてください。

原氏:先述した「お客様に寄り添う広告」の実現に向けて、さらに取り組みを加速させていきたいですね。

広告は目障りにならない程度の、一定の距離感が求められるわけですが、適度に対象のお客さまへアプローチしていけるような、“付かず離れず”の広告運用をしていきたいと考えています。

まずはLTV向上の取り組みに注力していきますが、将来的にはAIを使った高度な広告運用にも期待しています。

さらに、オプトさんのグループ再編に伴い、広告以外の領域に関してもコミュニケーションが取りやすくなるので、何かご一緒できそうなものがあれば、うまく連携していきたいと考えています。

安本:オプトでは、広告テキスト生成やクリック率の効果予測をAIで行うツールや、広告クリエイティブの効果を予測するツールをリリースしており、これまで人が担っていたクリエイティブ制作のフローを変える試みを今後さらに推進する予定です。

そうすることで、より多くのバリエーションを制作することができ、お客さまとの接点をつくる上で、最適なクリエイティブを検証するPDCAを高速で回していけるようになるでしょう。

また、LINEを活用したCRM(顧客管理)施策は、弊社グループのデジタルシフト社が支援をしており(2024年3月時点)、グループ統合によってさらに密な連携ができるようになります。新生オプトになれば、当然ながらソリューションの幅がさらに広がるでしょう。

同時に、私が理解できていないものをクライアントに提案するべきではないとも思っています。しっかりと自分自身がインプットし、クライアントに付加価値を提供できると判断した上で、さまざまな提案ができるように尽力していきたいです。

課題については、やはりその時々で変わっていくものですから、そこを常に見極めながら最適なソリューションを提供していくことが大切になってくるでしょう。

各種お問い合わせ・ご相談は
こちらからお願いいたします。