
2019.03.06
2019.03.06
「『自分の好きなことを我慢したまま、こどもに接したくない』と思ったんです。私の考えでは、仕事も育児も楽しんでいる親のほうが、こどもにとっても良い影響があるはずだって」
榎本佳代さんは、妊娠がわかってすぐ、仕事と育児の両立を決めた理由として、こう答えます。
出産を経て産後2ヶ月で職場復帰し、オプト初の“ママ営業部長”として活躍している彼女。どのように「自分にとって幸せな働き方」を実現していったのか、聞いてみました。
榎本 佳代
ブランド戦略部 部長
2007年、新卒でオプトへ入社 ダイレクトマーケティングの営業に従事
2015年、愛娘を出産、産後2か月で職場復帰し、社内に前例のないママ営業部長に就任
2016年、上期ベストマネジメント賞を受賞
2019年4月より、執行役員就任予定
就職活動のときは、まだ明確にやりたいことがなかったので、やりたいことが見つかったときに実現できる企業を探していました。オプトに入社を決めたのも、裁量権があり、挑戦しやすい環境だと思ったからです。オプトの選考を受けるなかで、「やりたいと手を挙げた人を応援する」文化があることを知り、成長できると感じましたね。
実際に入社して、営業の部署に配属されると、新規顧客の開拓を自由にやらせてもらえました。うまくいかないことも多かったですが、失敗しても次のチャンスをもらえる良い環境でした。
やりたいことが見えてきたのは、入社7年目のときに妊娠がわかってからでした。そのおかげもあって、産後2ヶ月で仕事へ復帰することにしました。
なにより仕事が好きで、働き盛りでしたから早く復帰したかったんです。もちろん、育児への専念も一度は考えました。でも、「自分の好きなことを我慢したまま、こどもに接したくない」と思ったんです。
私の考えでは、仕事も育児も楽しんでいる親のほうが、こどもにとっても良い影響があるのではないか、と。周りに頼りながらでも、自分が心地良く仕事ができる状態を作っていこうと決めたんです。
そして「2ヶ月で必ず戻るので、これまで同様責任のあるポジションを用意しておいてほしい」と私から会社に提案したんです。
2ヶ月での職場復帰は早すぎると心配する声は上がりました。でも、それ以上に女性の先輩社員のみなさんが応援してくれました。妊娠を伝えた時点から、ランチで定期的に情報交換する時間を設けてくれたんです。
すでに育児を経験している方から、キャリアを歩んでいく上で感じた葛藤や後悔、それをどう乗り越えてきたかを聞きました。そのおかげで「私はどうしたいか」を出産前から考えられました。
家族には、私が仕事を続けることを理解してもらっていたのですが、さらに出産後に起こり得ることを想定して伝えることで、認識をすり合わせていきました。
ただ、「『妊娠しても、働かなきゃいけない会社なんだ』と思ってしまう社員がいるかもしれない」という言葉は印象に残っています。だからこそ、自分の幸せを考えて「仕事と育児の両立」を自ら選んでいるということは、発信しなければと思うようになりました。
夫や近くに住んでいる義両親と事前に役割分担していたので、あまりなかったですね。強いてあげるならば睡眠不足くらい(笑)。
でも、こどもと一緒に寝て、朝早く起きて仕事をはじめていたので、より効率的に時間を使えるようになったんですよ。
それに、情報を得る場所が増えました。こどもができたことで、仕事では出会わない人とのつながりが増えたんです。それによって自分の興味や関心にも幅ができ、視野が広がっています。
私が在籍しているブランド戦略部は、ナショナルクライアントと呼ばれるクライアントとコミュニケーションを取り、課題のヒアリングや施策の提案をしています。取り扱う商材のターゲット層は女性向けのものが中心であり、育児のつながりで会う方たちは、まさにその層。リアルな声を聞いた上で、施策を立案できるんです。
人に仕事をまかせるようにもなりました。これまでは「自分でやったほうが早い」と思いがちだったのですが、時間的な制約ができたことで、自分がやるべき仕事を見極めて、人に頼れるようになりましたね。
オプトを世界で一番幸せな会社にしたいです。
2018年に友人の勧めで、国民の幸福度が高いといわれるデンマークへ行きました。仕事もプライベートの時間も、出会う人みんなが両立させ、楽しんでいるように見えました。
なぜそれが実現できているかを思うと、彼らは小学生の頃から他者との対話を通して「自分がどうありたいのか、何になりたいのか」を考える習慣が根付いており、自分にとっての「幸福な暮らし」を理解しているようでした。だからこそ、周りに流されず、自身の道を選択できているんです。幸福度を高めるには、自己決定することが重要であると実感しました。
日本ではまだまだ職場に「我慢する場所」というイメージを持つ人が多くいるはずです。でも、仕事は家庭と同じくらい長い時間携わりますから、楽しいほうがいい。マイナスイメージを変えていくためにも、まずはオプトで働いている人をサポートしようと。
Written by木村和博
Editor長谷川賢人
Photographer加藤甫