UNSUNG HEROES

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個人とチームの往復がやりたいことの幅を広げる──人気イラストレーターが選んだ働き方

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「フリーランスの時には心と時間の余裕があって、絵を描ける時間も多かった。会社員になってみたら収入や生活が安定するけれど、絵を描ける時間が少ない。一長一短あるんですけど……」

そう話すのは、「ざきよしちゃん」。彼はフリーランスのイラストレーターを続けながら、オプトで正社員として働くことを選びました。いま、なぜその両立の道をとったのか。そして、両立することで見えてきた、彼なりの「一長一短」の先にある働き方とは。

イラストレーターとオプトの仕事に関わる日々から見えてくる、“自分の活かし方”について、聞いてみました。

UNSUNG HEROES

  • ざきよしちゃん

    ソーシャルメディア事業部 / Studio Opt
    フリーランスイラストレーター→スマホアプリの会社起業→オプト入社。
    フリーランス時代から大手企業とコラボし、イラストを手掛ける。現在は、オプトで働きながら、イラストレーターとしても活動。漫画家・江口寿史さんが担当するCDジャケットが好き。


1年で100枚売れた、うさぎのスウェット。僕は上京を決意した
 

ライター木村

いつからイラストレーターとして活動を?

ざきよしちゃん

2016年です。絵を描くのが好きで美大志望だったのですが、叶わず文系の大学へ通うことになり……講義も熱心に取り組めず、絵を描いている時間が長かったんです。ある時、その絵をインターネットに載せてみたら、思いがけず反響があったんです。

ざきよしちゃんのキャラクター『やさしいうさぎ』 

ざきよしちゃん

漫画家の江口寿史さんが、銀杏BOYSというバンドのCDジャケットで漫画的なグラフィックを描いていて、それが好きだったんです。その頃のバンドのグッズには影響を受けましたね。

自分もバンドのためにグッズを作ろうと、キャラクターを描くことにしたんです。作りやすさから「うさぎ」をモチーフに選んで、それが今でも描く「やさしいうさぎ」です。同世代や若い子たちが「可愛い!」っていう感じて、グッズを買ってくれたり、スマホの待ち受けにしてくれたりして。

それで、Tシャツ通販のサイトで『やさしいうさぎ』のスウェットを作って販売してみたら、2016の中で100枚売れたんです。  

ライター木村

100枚も!

ざきよしちゃん

駆け出しなのにそれだけ売れたことにびっくりしました。そんな感じでインターネットでちやほやされていく中で(笑)、色んなイラストレーターの方と出会ったり、mixiで知り合った友人が東京にいたりすることもあって、スウェット100枚を売った実績で親を説得して、上京させてもらいました。東京に出て、イラストレーターとして食べていこうって。  

ライター木村

上京後は、どのように活動していったのですか。

ざきよしちゃん

アパレルグッズやLINEスタンプを作ったりしていたんですが、友人とスマホゲーム会社を立ち上げたんです。当時はインディーゲームのブームで、「ゲームを作れば1000万稼げる」なんて話があって。「夢があるな!」って3本くらい作ったけれど、全然稼げず解散してしまいました……。  

社会人を経験せずフリーランスを続ける方が苦労する
 

ライター木村

会社の解散後はどうしていたんですか?

ざきよしちゃん

就職しようと考えていました。

ライター木村

フリーランスで活動していく選択肢もあった思うのですが、就職を選んだ理由は?

ざきよしちゃん

数年前から「フリーランス最高!」みたいに盛り上がってたじゃないですか。たしかに自由だし、それでもやっていける人もいる。でも、僕の場合は、会社員を経験しないままフリーランスを続けていくと、どこかで道を踏み外すんじゃないかと思って。請負仕事をする上で、どこからどうやってお金がめぐっているのかの流れも学びたかったので、一度は就職しようと。

といっても、会社員の経験もないし、どういう職種がいいかなと思ったときに、広告を学べるところにしようって考えたんです。

広告業界を選んだのは、いいものを作るだけではなく、多くの人に届けるためには広告が大切だと身にしみたからですね。スマホアプリをリリースするときに、ダウンロードランキングの上位へ入れる目標があって、そのための方法を調べていくうちに色々な広告の手法を知ったんです。

ライター木村

そこからオプトを選んだのはどうしてでしょうか?

ざきよしちゃん

オプトは、発注主のひとつでした。フリーランスをしていると怪しい依頼もくるのですが(笑)、オプトはSNSコンサルタントの皆さんが実名でTwitterをしていて、中の人の顔と発信が見える安心感があったので、一緒に仕事をさせてもらっていました。

それで、TwitterのDMで三川夏代さん(オプトのメディア「kakeru」編集長/SNSコンサルタント)に相談したんです。その後、面談することになり、入社が決まりました。

ライター木村

入社してからは、どんな仕事をしていますか?

ざきよしちゃん

飲料系の会社で、Instagramのストーリーズのコンテンツ制作や、SNSキャンペーン施策の企画をしています。

ライター木村

入ってみてどうですか?

ざきよしちゃん

僕はソーシャルメディアの流行を追うのが好きなんですけど、在籍しているソーシャルメディア事業部は、それが仕事につながるので楽しいですね。

一緒に働くメンバーも個性豊かな人たちの集まりだと感じています。服装も個性的だし、アニメや漫画好きが多い。 オプトの中でも独自の進化を遂げているガラパゴス諸島みたいなイメージ(笑)。それぞれの強みや弱みに対する受容度が高い場所なので、居心地がいいです。

最初に、出社時間だけ「朝9時30分……大丈夫かな……」って戸惑ったぐらいで、同僚たちも見知っていていましたし、仕事には入りやすかったですね。

イラストレーターに還元されること、イラストレーターがビジネスに貢献すること

ライター木村

オプトの仕事とイラストレーターの活動は、どのような配分にしているのですか?

ざきよしちゃん

平日の日中はオプトの仕事に専念します。平日の夜と、土日でイラストレーターをしています。

ライター木村

入社してからどのような変化がありましたか?

ざきよしちゃん

経済的な余裕が増えて、グッズを作りやすくなりました。ただ、絵を描く時間は前より限られています。フリーランスと会社員で一長一短あるし、もどかしい気持ちもなくはない。

でも、いつか会社を離れる時を考えても、イラストレーター以外のスキルを高められる環境があるので、今はフリーランスよりも会社員がいいなと思っています。

今はオプトでの経験を吸収しつつ、イラストレーター活動に還元していく時期だと考えています。

ライター木村

どんな経験がイラストレーター活動に還元できていますか?

ざきよしちゃん

すぐに思い浮かぶのはふたつです。

ひとつは、業務の一環である広告施策の経験です。クライアントのソーシャルアカウント運用支援において、広告の数値を見て改善していくような施策では、どのような特徴を持つフォロワーがどのくらい増えるのかを知ることができました。自身の活動においてもソーシャルアカウントの運用を見直すきっかけになっています。

もうひとつは、お金の流れを知れたこと。入社前の目論見もあたって、イラストの仕事が発生したときの上流からの流れが理解できました。それと、価格交渉のスキルも付きました。もともと不動産営業をしていて、今はソーシャルコンサルタントを務める田村さんという先輩がいるのですが、彼からは交渉術を教えてもらったんです。

それまで本などで得た知識はあって、実践したいと思いつつも、できていなかったんです。彼のように実際に現場で成功してきた人の具体的な教えだと、僕としても信憑性が上がる。試してみたら見事に成功!でした。

ライター木村

逆に、イラストレーターのスキルがオプトの業務で役立ったシーンはありますか?

ざきよしちゃん

僕が携わっている官公庁の公式キャラクターの企画案件で、クライアントとのキャラクターデザインの打ち合わせ中にその場でイラストの修正をして、すり合わせができました。また、イラストレーターのネットワークを活かして企画に合うイラストレーターのアサインも行えたんです。与件に対して、自分ならではのスキルセットで貢献できたシーンでした。

それから以前に、とある研修で、チームごとにCMのアイデアを発表するコンペがあって、優勝できたんです。決め手は僕が書いた絵コンテでした。

他のチームはプレゼンの際に、既存の画像を探して組み合わせ、CMのイメージを伝えていました。でも、僕らはオリジナルのイメージを作成できたことで、審査員の目を引けました。クリエイティブが差別化や競争優位性として役立つスキルだと実感できたことは大きいです。

それから、直接的なスキルではないのですが、漫画やアニメが好きなので、そういった要素が含まれる案件のときはクライアントと親しくなりやすくて、信頼関係も築きやすいですね。

ライター木村

オプトの仕事もイラストレーターの活動も、お互いに作用し合っているんですね!

ざきよしちゃん

イラストレーターとして絵を描くときは、個人的な直感を大切にすることが多いのですが、オプトの仕事はチームで論理的に物事を考えて進める機会が多い。感覚と論理、個人とチームを行き来する習慣があることで、やりたいことの幅が広がり、それを実現する手段も増やせています。

ライター木村

これから取り組んでいきたいことはありますか?

ざきよしちゃん

イラストレーターとしては、中国や韓国のデザインフェスタや同人誌即売会に参加したいです。中国や韓国はアートとしてイラストを評価している土壌がある。Web上でイラストを公開して見てもらうだけではなく、実際に触れるものとして作り、買ってくれた人が大切に保管してもらえたら嬉しいですね。

オプトの仕事では、音声メディアの広告を提案して取り組んでみたいです。僕はラジオも好きなので、ラジオ的な文化をインターネットに根付かせたいという思いもあります。ビジネス寄りのコンテンツだけではなくて、たとえば『バナナマンのバナナムーンGOLD』のようなお笑いのラジオがもっと盛んになると思っています。

とはいえ、僕もイラストレーターとしてのスキルを上げていかないと、オプトに大きく貢献できないなと思っています。まずはそのスキルも、しっかり高めたいですね。今はオプトで学びを得ているところなので、個人のスキルをチームにも還元したいです。  

Written by木村和博

Editor長谷川賢人

Photographer加藤甫

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