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Journal 2014/12/19

【第10回 オンラインビデオラボ】MCNについてまとめてみました。

10回目となる今回は、MCN(マルチチャンネルネットワーク)についてご紹介いたします。
米国から生まれ、日本でも徐々に増えているMCN。今回は、なぜ複数のYouTubeチャンネルを束ねて一つのネットワークとして運営するという概念が生まれたのか?という発端から、日本ではどのように普及していくのか?という今後の展望まで、まだあまり知られていないMCNの全貌を解き明かしていきましょう。 


1.MCNとは?
まずMCNとは、マルチチャンネルネットワークの略称であり、動画クリエイターや、団体が運営する個々のYouTubeチャンネルを複数束ねたネットワークのことを指します。ネットワークには様々な種類があり、コメディ、音楽、ゲーム等、あらゆるジャンルを取り扱ったり、特定のジャンルに特化して運営していたりします。

MCNが生まれた背景
前提としてMCNとは、YouTubeやオンライン動画市場を盛り上げる為にGoogleが作った一つの概念です。
短尺のオンライン動画はYouTuberという動画クリエイターの活躍も相まって、日に日に普及しています。
タレントが活躍する”TV”から、動画クリエイターが活躍するオンライン動画へのシフトチェンジを図り、国境をも越えた今後のメディアのスタンダードとしてオンライン動画を活発化させる為、MCNは生まれました。 


2.YouTube側のメリット・動画クリエイター側のメリット
では、MCNが増えることでプラットフォームを提供しているYouTubeにはどのようなメリットが生まれるでしょうか。
また、実際のコンテンツを制作する動画クリエイターがMCNに加入するメリットとはどのようなものなのでしょうか。

YouTube側のメリット
MCNの活動により、YouTubeに動画を投稿する新たなクリエイターが増える。
・クリエイター支援により、動画コンテンツの質と量がアップすることで、YouTubeへの来訪者、視聴者が増える。
・結果として、広告収益が増える。

■動画クリエイター側のメリット
・より良い動画を作るための制作環境やノウハウ、分析ツールの提供、楽曲使用の権利などが与えられる。
・クリエイター同士のコラボレーションが発生することで、お互いのファン(視聴者)が増える。
MCNにより、スポンサーとのマッチングの機会が増える。 


3. 米国の代表的なMCNとその特徴
では、米国の代表的なMCNの特徴と、HOT TOPICSを覗いてみましょう。

■米国の代表的なMCNとその特徴
ここでは、米国の代表的なMCNを4社程ピックアップしています。
また、それらの
MCNでは、合計で約81,000人の動画クリエイターを抱えています。

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1.Fullscreen
チャンネル登録者、再生数共に最多であり、米国で最大規模と言われているMCN
特徴としては、音楽・コメディ・アニメ・ゲームと、オールジャンルを網羅した数多くのコンテンツを用意しています。
また、Fullscreenの強みは、コンテンツ制作時のPDCAを回す為の分析ツールがどのMCNよりも優れている点です。
SNS上でのユーザーの細かな反応を見ることが出来るなど、YouTube Analytics以上に掘り下げた分析が可能であり、コンテンツの分析結果や課題点、対策をまとめたレポートの提供を行うこともあります。
最近は音楽分野に最も注力しており、Fullscreen限定でのクリエイターへの楽曲提供を行ったり、ヒット曲のカバーライセンスを唯一持つなど、他のMCNとの差別化をしっかりと図っています。
(https://www.fullscreen.com/)

2.MakerStudios
Fullscreen同様オールジャンルの動画クリエイターを抱えています。
こちらのMCNの特徴や強みは、タレント事務所のようにクリエイターを手厚くサポートしている点です。
コンテンツ制作時の環境整備やプロダクションスペースの完備等、クリエイターに快適な環境を提供することを第一としています。
(http://www.makerstudios.com/)

3.MACHINIMA
MACHINIMAはゲームジャンルに特化したMCN
抱えているクリエイターも、ゲーム動画を制作するクリエイターのみです。
ゲーム実況や実際にプレイレビューを専門的に扱っています。
(http://www.machinima.com/)

4.STYLEHAUL
STYLEHAULはビューティー系コンテンツに特化したMCN
メイクやヘアアレンジ動画を制作出来るクリエイターを多数抱えています。
(http://stylehaul.com/)

■米国のMCN HOT TOPICS
―「大手企業によるMCNの買収」
大手企業によるMCNの買収も目立っており、代表的な例としてはディズニーがMCNの大手である「Maker Studios」を5億ドルで買収しました。何故、コンテンツそのものを創りだす知識や技術があるディズニーがMaker Studiosを買収したのでしょうか?その理由として、短編のオンライン動画の知識やテクノロジーをMaker Studiosから取り入れ、現代のユーザー行動に合わせたコンテンツ作りを行いたいと考えたのではないかと推測しています。これは、今後膨れ上がるオンラインビデオ市場に対し、一歩先を読んだディズニーの戦略とも言えるのではないでしょうか。また、AT&Tも「Fullscreen」の過半数株式を取得しており、正式な投資金額は伝えられていませんが、約2億ドル~3億ドルと伝えられています。

―「YouTubeという母体から離れ、MCNが独立しようとする動きがある」
MCNは、現時点ではYouTubeというプラットフォームに依存しており、何割かの収益をとられています。
しかし、こういったビジネスモデルに変化を起こそうと、MCN自体が大きくなるにつれ、MCN独自のメディアを作ってYouTubeから脱却しようとする動きが目立っています。
また、ユーザー側の視聴傾向にも変化が起こっており、以前まではYouTubeを閲覧しながら関心のあるコンテンツを見つけるというプラットフォームを軸とした視聴傾向でしたが、最近では気に入ったクリエイターを見つけた場合、プラットフォームはどのようなものであろうと目当てのクリエイターの動画が見られれば良い、という視聴傾向に変わってきているようです。


4.日本の現状と課題点
また日本でも、uuumThe Online Creatorsなど、去年あたりから徐々にMCNに取り組む企業が増えてきていますが、まだまだ動画クリエイターの数は少なく、発展途上であるというのが現状です。そこにはどんな問題点があるのでしょうか。

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MCN側の問題点
ー「認知度が低い」
まず挙げられるのは、MCNの認知度が低いという点です。
クリエイター自体は「好きなことで生きていく」というキャッチコピーでのYouTubeによる宣伝や、メディアで取り上げられることも増えてきていますが、そのクリエイターを囲うMCN自体の宣伝は特に大きくは行われていません。
よって、MCNというネットワークの存在や、運営目的に関しての認知度は一般的にはまだ低いと言えます。

ー「クリエイターやチャンネルに対するマネジメントが足りない・PDCAを回す基板が発展途上」
日本のMCNは単純に名義ばかりのMCNや、トップクリエイターを束ねているだけのMCNが多いというのが現状です。
今後は米国同様、制作環境・動画コンテンツの分析ツールの提供・クリエイター同士のマッチング機会・スポンサーとのマッチング機会など、クリエイターに提供出来る価値をより明確にしていく必要があります。

■クリエイター側の問題点
―「商品レビューや実況のみではなく、幅広いジャンルのクリエイターが必要」
クリエイター側の問題点としては、どのクリエイターの動画も似たり寄ったりな動画内容であり、ユーザーに対する引きの強さが無いということも課題の一つとして挙げられます。
そもそもクリエイターによる動画制作が行われる上で題材を決めるポイントは二つ。
一つ目は、一人でお金をかけずに面白く撮影が出来るということ。二つ目は、伝えたいことを動画にする必要性があるということ。
それら二つのポイントを満たす題材は現状商品紹介、レビュー、実況中継などになってしまう為、どうしてもありきたりで横並びな内容になってしまいがちです。
ドラマや演劇を制作したいと思っていても、そこに時間とお金をかける価値を見出だせていないのが日本の現状です。

―「マスメディア、芸能界の華形イメージが抜けない」
TVに出たい、雑誌に載りたい、CDデビューしたい、芸能界に入りたい、という憧れは根強く、“WEBはマスメディアを諦めた人が手を出すものという固定概念があります。また、WEBで下積みをし、ゆくゆくはマスに進出というイメージを持ちながら活動をしているクリエイターも多くいるようです。一方で若手クリエイターを中心に、より自由な表現や自由な活動を求めてWEBに新たな可能性を見出そうとしているクリエイターもいます。


以上のように、市場の規模がまだ小さいことや業界構造なども大きく関係しており、日本のMCNは米国と比べ発展途上。
MCN側にとってもクリエイター側にとってもMCNビジネスが盛り上がってくるにはもう少し時間が掛かる様子です。
しかし上記にもあるように、若手クリエイターを中心に、マスメディアではなく、WEBに活躍の場を見出すクリエイターも増えている為、この先も注目度が高いビジネスであることは間違いなさそうです。