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Journal 2016/08/05

​カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル(Cannes Lions International Festival of Creativity)視察レポート

2016年6月18日~24日にかけてカンヌで行われた国際クリエイティビティ・フェスティバル「カンヌライオンズ」へ参加しました。今回は「カンヌってどんなところ?」と思われているデジタルマーケターの方に向けてレポートさせていただきます。
 

■「カンヌライオンズ」とは

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 「カンヌライオンズ」とは、世界3大広告祭の一つといわれる世界最大級の広告賞のことで、毎年開催期間中はカンヌの街は広告業界関係者で溢れかえります。
世界にある数々の広告・コミュニケーション関連のアワードやフェスティバルの中でも、エントリー数・来場者数ともに最大規模を誇り、世界中から集められた作品は選抜された審査員によって審査され、計24部門の広告賞から表彰されます。
開催63回目を迎える今年は、約100カ国から15,000人以上の来場者が集まり、エントリーされた作品は40,000点を超え、広告を超えた様々な業界からの注目度が年々高まっています。

エントリー作品からはデジタルの可能性を活かしたチャレンジが多数みられ、デジタルマーケターにとって学ぶべき多くの事例が存在します。

 

■出展ブースの様子から読み取るデジタルシフトの流れ

開催から60年以上経った現在、ブースの様子も大きく変わってきています。
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会場周辺ではYoutube、Facebook、Samsung(VR)などのデジタルプラットフォーマーを始め、デジタルに注力している多くの企業がブースを出展し、世界各国に向けてアピールを行っています。メイン会場のビルボードにもSnapchatが大きく映し出されているほどで、デジタルプラットフォーマーの存在感を改めて感じました。
また、クリエイティブ領域以外のデジタルをメインに活動している人材が初めて渡航しており、訪れる人々からもデジタルシフトの流れを感じとることができました。


 

■カンファレンス、受賞作品より2016年カンヌライオンズの3つのトレンド

カンファレンスや受賞作品を通して、大きく3つのトレンドを感じました。
受賞している作品はその要素を複合的に備えたアプローチが伺えます。


①ブランド体験の徹底的な追及
デジタルの進化に沿ってあらゆる新しい表現がありましたが、全ては如何にブランド価値をリアルに感じてもらうかに集約されていました。ストーリーテリング、テクノロジー、圧倒的なファクトなど、表現する手法を活用するアイデアから究極のブランド体験を創りだしています。

②生活者文脈に沿ったストーリーテリング
ストーリーテリングは今回のカンヌでも最も耳にしたキーワードの一つです。一方でデジタルを軸にあらゆる接点全てを活用したコミュニケーションの設計が多くみられました。その接点ごとに生活者には文脈があり、その時々の文脈に合わせてストーリーをカスタマイズしていく重要性と可能性が伺えました。

③先端テクノロジーが創るクリエイティブ
受賞作品にはAI、AR、VR、3Dプリンター、ライフログ、生体反応 など多くの先端テクノロジーの活用がみられました。イメージの世界を現実化する、データからアートを創出するといったテクノロジーの本質は「見えなかったものをカタチにできる」ということです。それが究極のブランド体験を実現する新たなアプローチの一つとなることが伺えました。

 

■受賞作品のご紹介

この中で、いくつか印象深い受賞作品をご紹介させていただきます。

『REI | ♯OPTOUTSIDE』
伝統的に1年で最も買い物が行われる“ブラックフライデー”。一方で割り込みによる暴動など社会問題も発生。そんな中、アウトドア用品店のREIは営業を行わないことを宣言。 
生活者に対して「値下げに飛びつくのではなく、自然の中で過ごそう」と呼び掛けました。

<REI動画 >

この作品は社会問題化しつつあるブラックフライデーの文脈を汲んだうえで、”一番の掻き入れ時に休業しアウトドアを推奨する” 勇敢なアイデアが先ず注目を集めました。
その後もアウトドアを楽しめるようなソーシャルサービス・アプリを提供し拡散。当日に向けた生活者文脈に合わせたリアルなブランド体験を実現させています。結果、150を超える企業が追随し、何千もの国立公園が当日は無料開放するなど社会を巻き込むムーブメントを産みだしました。


『Volvo | Look Who’s Driving feat. 4-year-old Sophie』
ボルボトラックが高い走行性能をアピールするために“4才児がリモコン操作でトラックを運転する” という企画映像を公開。その映像によって、ハードな走行環境にもビクともしない、非常にタフなトラックであることを証明しています。

<Volvo動画>


この作品は“遠隔操作によるトラックの走行性能の限界に挑戦” するフィルムの力を活かした、シンプルでパワフルなアイデアとなっています。ドローンも活用した優れた表現で、走行性能を示す一目瞭然のファクトを創り出し、生活者へ強いブランド体験を実現しています。


『The Next Rembrandt』
オランダの金融グループのING社が、レンブラントの全346作品のデータをコンピューターに入力。 「最もレンブラントらしい」 作品を創り上げた。AIと3Dプリンタを用いて、ING社の革新的な姿勢と技術力を体現する企画となった。


<レンブラント動画>


この作品は“データとテクノロジーによって新たなアートを創り出す” というアイデアとなっています。AI、3Dプリンタを活用し、没後347年となるレンブラントの新作といえる作品を創り出し、アートとテクノロジーの融合は新たなクリエイティブのカタチの一端を示しました。

 

■カンヌライオンズからデジタルコミュニケーションのこれからを考える

カンヌライオンズを経験し、デジタルを軸として多くの人の心を動かしていくことは、我々が目指しているデジタルマーケティングの方向性と合致していると感じました。エントリー作品にはデジタルの可能性を活かしたあるべき姿へチャレンジした、デジタルマーケターにとって学ぶべき多くの事例が存在します。

デジタルでブランドと生活者がつながり続けることで、「ブランド体験と結果」「データとクリエイティブ」「コミュニケーションとプロダクトデザイン」などの統合的なアプローチが益々求められていくでしょう。

この流れの中でテクノロジー1つとっても、今までの座組みで全て対応することは難しくなってきています。これからは、デジタルを中心としたリードエージェンシーと多くの企業とのコラボレーションが必須です。如何により良いコラボレーションを産みだしていけるかが重要になると思います。
コミュニケーションがデジタル化することで、その影響力が益々広がるこの業界の未来に素直にワクワクしました。視点高く、着実に歩んでいきたいと思います。
 

中野宜幸(Nobuyuki Nakano)

中野宜幸(Nobuyuki Nakano)

デジタルブランディング領域管掌 執行役員
2006年に入社し不動産業界担当アカウントプランナーとして従事した後、営業部長、事業部長を歴任。その後、ビジネス開発本部本部長に就任し、新規ビジネスや事業提携を推進。2015年に執行役員に就任し、現在はデジタルを起点としたブランディングを支援する組織を管掌。